トップへ

伝統ある彫像が「4コマ漫画風」に スペインで続く修復ミスに「法改正を」の声も

2020年11月12日 06:52  Techinsight Japan

Techinsight Japan

スペインでまたもや粗悪な修復が…(画像は『The Sun 2020年11月10日付「DISASTERPIECE World’s worst restoration leaves stunning Spanish sculpture looking like a gormless cartoon」(Credit: @antonio.capelartista/Newsflash)』のスクリーンショット)
伝統ある絵画や彫刻の修復で度重なる失態を見せ、世界から失笑を買っているスペインだが、このほど再び由緒ある建築物のシンボルである彫像が粗悪な修復師によって無残な姿に変えられてしまった。『The Sun』などが伝えている。

【この記事の他の写真を見る】

スペインのカスティーリャ・イ・レオン州パレンシア市内に1919年に建てられた由緒ある建築物がある。これはかつて地元カトリック農業連盟の理事長が建築家のジェイコボ・ロメオ氏(Jacobo Romero)に依頼して、彼の指導のもと建てられた由緒ある建築物だ。

建物の外観には芸術的な彫刻が施されており、ウニカハ銀行の支店があることから市内のシンボル的存在となっている。

そして最近になって、この建物の彫像に修復作業が行われたようだ。彫像はかつて建物の修復作業中に一部が欠けてしまったために今回の修復に至ったようだ。


修復後は除幕式が行われ、人々は新たに生まれ変わった彫像を目にすることとなった。しかし彫像の顔は、修復前とは似ても似つかない表情になっていたのだ。彫りが深く天使のような笑みを見せていた彫像の顔が、のっぺりとした表面に目と口を模ったであろう3つの穴が空いており、真ん中には豆粒のような鼻があった。

この修復された彫像を地元の画家アントニオ・グズマン氏(Antonio Guzman)が写真撮影し、Facebookに「これは、“パレンシアの象徴的な建物の顔”というより、“4コマ漫画の顔”って感じだ」と投稿した。これには多くの人が同意し、次のような意見が寄せられた。

「まるで子供が浜辺の砂で作った彫刻のようだよ。」
「うちの孫でも粘土でもっとマシなのが作れるはず。」
「これはひどい! 我々の国の偉大な芸術家のことを考えると泣きたくなってくるよ。」

除幕式まで行われ、華々しく披露された修復後の彫像の評判は著しくなかったようだ。今も多くの批判が相次いでいるが、今のところ建物の所有者からは何のコメントも無いという。

スペインでは今年6月にも聖母マリアの17世紀の名画が、家具修理業者の修復によってまるで娼婦のような顔に変えられてしまったばかりだった。繰り返される同様の問題に対してスペインの芸術保存・修復協会は「私たちの遺産を守るためにも法改正が不可欠である」と強く訴えている。

画像は『The Sun 2020年11月10日付「DISASTERPIECE World’s worst restoration leaves stunning Spanish sculpture looking like a gormless cartoon」(Credit: @antonio.capelartista/Newsflash)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)