帝国データバンクは11月10日、10月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表した。調査は10月にネット上で実施し、1万1448社から回答を得た。
10月の景気DIは5か月連続でプラスの33.8だった。前月比2.2ポイント増。
製造業は自動車関連、電子部品製造なども好調
10月の国内景気は、安定した天候が続いた中、人の移動も徐々に戻ってきたことがプラス要因になり、低水準ながら企業の生産・出荷や個人消費が緩やかに上向いた。また、堅調な公共工事に加え、自宅内消費は引き続き活発だった。観光関連では、各種施策による影響もあり、地方圏を中心に旅館・ホテルの設備稼働率や販売単価に回復傾向がみられた。
他方、感染予防対策による売り上げ減少やコスト負担増のほか、民間設備投資に対する慎重姿勢が継続する動きもみられる。
業界、業種別にみると、10業界中『その他』を除く9業界、51業種中46業種でプラスだった。特に『製造』(31.0、前月比3.2ポイント増)では、自動車関連が上向きつつある「輸送用機械・器具製造」(同7.1ポイント増)、プリント回路や電子部品製造がプラスに寄与した「電気機械製造」(同4.1ポイント増)で景況感が大幅に回復した。
また、6か月連続プラスの『サービス』(35.1、同1.2ポイント増)でも、「旅館・ホテル」(同14.8ポイント増)は2ケタ増で、過去最大の増加幅を記録。地方の旅館・ホテルを中心として設備稼働率や販売単価に回復傾向がみられた。
今後の感染状況によっては下振れリスクも大きい
地域別では、全10地域、42都道府県でプラスだった。『北関東』(33.2、同2.6ポイント増)は、近距離旅行の需要拡大がプラス要因になったほか、飲食料品関連の製造・卸売・小売・飲食店がいずれも持ち直した。
『近畿』(32.4、同2.9ポイント増)では、公共工事の増加で『建設』が上向き、関連する建材やプラスチック製造、物流などへ波及した。
企業規模別でも、いずれも5か月連続のプラスだった。「大企業」(36.4、同2.5ポイント増)は「輸送用機械・器具製造」が持ち直し傾向で推移する中、関連する部品や鉄鋼生産などもプラス材料に。
「中小企業」(33.3、同2.2ポイント増)では食品スーパーや専門サービス、「小企業」(33.9、同1.9ポイント増)では第一次産業や電気通信工事などがプラス要因になった。
今後1年程度の国内景気について、同社は「新型コロナウイルスへの対策を進めながら、新しい生活様式に対応した需要の創出が期待される」としている。レジャー関連や海外からの訪日客の受け入れ再開などの個人消費の持ち直しも見込まれる。また、挽回生産や自国生産の拡大による設備投資や輸出増加などもプラス要因となり得る。
一方、今後の感染状況によっては消費者マインドの後退や雇用・所得環境の悪化、政府による活動自粛の再要請などの下振れリスクも大きい、とする。米大統領選の行方や海外の感染拡大による回復の遅れなども影響し得るだろう。
同社は総じて、
「今後の景気は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動再開のバランスに慎重に対応しながら、緩やかに上向いていくとみられる」
と推測している。