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メルセデスF1代表、ハミルトンとの新契約に自信。交渉の遅れと“引退示唆”にはコロナ禍の影響あり

2020年11月06日 10:31  AUTOSPORT web

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2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP メルセデスのタイトル7連覇を喜ぶルイス・ハミルトン(メルセデス)とトト・ウォルフ代表
2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGPで優勝した後、ルイス・ハミルトンが、来年F1で走っているとは限らないと発言したことが波紋を呼んだ。しかしメルセデスのチーム代表トト・ウォルフはハミルトンが今年で引退するような事態にはならないと語り、両者の交渉が遅れていること、ハミルトンがこのような発言をしたことについて、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが大きく影響しているとの考えを示した。

 ハミルトンは、エミリア・ロマーニャGPで、2007年のF1デビュー以来、キャリア93回目の優勝を果たした。ミハエル・シューマッハーが保持していたこれまでの記録91勝をすでに破って歴代単独トップに立ち、F1世界タイトル獲得回数においても、今年7回目に届く可能性が高く、そうなればまたもシューマッハーの記録に並ぶことになる。

 メルセデスでの72勝目を挙げたハミルトンは、イモラで同チームがコンストラクターズ選手権7連覇を確定することに貢献した。しかし現在の契約は今季末までとなっており、シーズンが終盤に近づいているにもかかわらず、契約延長はいまだになされていない。その上、ハミルトンは新契約を結ばず、F1から離れる可能性もあると発言した。

 アウトドローモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリでの決勝後、ウォルフは来年もチーム代表を務めるのか、それともチームの他の役職に就く可能性があるのかというメディアの質問に対し、ハミルトンは次のように答えた。

「自分が来年もここにいるのかさえ分からない。今の時点で、それは僕にとっての心配ごとではない」

「来年も残りたいけれど、確実な保証はない。(F1以外の)外の世界にも僕をわくわくさせるものがたくさんある。時間が経てば分かるだろう」

「トトのことや、選手としていつまで現役でいるのかといったことについて質問されたわけだけど、僕の心のなかの重要な位置を占めているものはたくさんある」

「もちろん何の問題もないし、今も自分は強いと感じている。まだ当分の間続けられると思う」
「(でも)僕は随分長いことF1にいる。少し後ろに下がって、家族との時間なんかをもっと多く持ちたいという考えもよく理解できる」

「トトと僕は深い話し合いを重ねてきた。だから彼が心情的にどういう立場にいるのかよく分かっている。僕たちは多くの重荷を分かちあって一緒に運んでいるんだ」

 ハミルトンは以前、期間は現契約の3年とは異なるものになるかもしれないと話し、新契約は“形式的なもの”であるとしていた。

 彼自身も、契約についての決断がこれほど遅れていることに驚いているようだ。
「11月に入ったがまだ決まっていない。クレイジーだ。クリスマスもそれほど先のことではないんだからね!」

■ウォルフ代表「ハミルトンが今引退したら大混乱が生じる」

 ウォルフ代表は、ハミルトンがF1を離れる可能性は非常に低いと考えており、現世界王者である彼が2021年もタイトルを防衛するために再度戦うものと確信している。ハミルトンがこの発言をしたのは、レース後の感情が高まっている時だった。さらに2020年の新型コロナパンデミックの影響も大きいと、ウォルフ代表は考えている。

「もし彼がF1を離れる決断をしたとする。私はそうはならないと思うし、そんなことは起きてほしくないと思っているが、もしそうなったら、ドライバー市場は大混乱になるだろう!」とウォルフは言う。

「あの時は特別な瞬間だった。感情が高ぶっていたのだ。我々は皆幸せだが、非常に疲れてもいる」

「私自身も同じだ。彼の気持ちを完全に理解できる。自分自身に疑問を投げかけ、他の重要な物事について考えるときがある」

「(F1というのは)我々にとって小さな幸せな場所だ。人々に娯楽を提供しようと努力するものの、翌日には厳しい現実に戻るのだ」

「朝、ニュース番組をつけて夜に消すまで、自分たちが直面しているさまざまな問題点が報道されている」

「そうしたことがすべて、我々に影響を及ぼす。その点で言えば、(ルイスのような)共感力のある人間がそのような感情を持つのは普通のことだ」