トップへ

ホンダF1田辺TDレース後会見:クビアトの4位入賞に「地元に貢献できて本当に良かった」と喜ぶ反面、悔しさも隠さず

2020年11月02日 17:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)
ホンダ製パワーユニット(PU)を搭載した4台が8番グリッドまでに並び、上位入賞が期待されたF1第13戦エミリア・ロマーニャGPの決勝レース。しかしスタート直後に、まずピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)がラジエターからの水漏れで戦線離脱した。終盤には2位表彰台を目前にしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が、タイヤバーストでリタイア。アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ0)は単独スピンで、最後尾に転落した。

 そんななかダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)だけが、今季自己ベストの4位に入って気を吐いた。ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターはクビアトの上位入賞を喜びながらも、「いくら予選がよくてもレースで結果が出せなければ意味がない」と、無念さを隠さなかった。

 一方でメルセデスの7連覇については、その偉業を称賛しつつ、「来季こそ、追いつきたい」と、決意を新たにしていた。

────────────────────

──この週末の総括からお願いします。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):初めての2日間開催でしたが、パワーユニット(PU)、車体ともに事前のシミュレーションを重ね、双方うまくいったと思います。その結果、予選では4台揃ってQ3に進出できました。

 しかしレース自体は、非常にフラストレーションの溜まるものになってしまいました。フェルスタッペン、ガスリーは非常にいい走りをしてくれてましたが、ともにトラブルでリタイア。アルボンは最下位完走に終わりました。

 一方でクビアトは最後まで、表彰台争いをしてくれた。一歩及ばず残念でしたが、アルファタウリの地元での4位入賞は、唯一いい結果でした。チームは地元に深く根付いていて、住民のみなさんは誇りに思ってくれている。地元に貢献できたこの結果は、本当によかったです。

 いつも言っていることですが、いくら予選がよくてもレースで結果が出せなければ意味がない。その意味でも、非常に残念なイタリアのレースになってしまいました。

──レース前に発表された交換パーツ一覧に、フェルスタッペン車の点火プラグがありました。念のために、再度交換したのでしょうか。

田辺TD:いえ。予選が始まると、パルクフェルメ状態になる。なのでQ2での交換が、あそこに表示されています。

──ガスリーのトラブルは、すでにグリッド上で判っていたようですが。

田辺TD:データ上、水圧の低下を検知しました。予選までは、まったく問題がなかった。それがグリッドに向かう周回で急に下がり始め、グリッド上で確認しても何も見つからず、水圧を上げてレースを始めた。しかしそのままチェッカーまでとても持ちそうにない水圧の抜け方だったので、エンジン保護のために止めさせました。非常に残念なトラブルでした。

──水圧低下ですが、具体的には?

田辺TD:ラジエターからの水漏れです。単純なパーツ破損でした。それで絶好調のガスリーの地元レースを落としたのは本当に残念です。

■「課題を潰し込んで近づいていくという意味では、少しは成果は出てきている」

──フェルスタッペンの点火プラグトラブルは、予選で出ていなければ決勝で出た恐れもあったのですか?

田辺TD:いつ出るかは、わからなかったですね。

──消耗部品だと思いますが、頻繁には交換していないのでしょうか?

田辺TD:耐久テストで、使用限界距離は把握しています。それに安全率をかけて、使用している。普通なら保つはずでした。

──個体差の問題だった?

田辺TD:そうですね。イレギュラーなトラブルでした。

──対メルセデスのパフォーマンスは、どのように見ていますか。今回はレースでも、いいバトルができていた印象ですが。

田辺TD:ボッタスは、車体にダメージを受けていたのですよね。手負いのボッタスに仕掛けて順位を上げましたが、ハミルトンには逃げられた。今までと、あまり変わっていない気はします。ただひとつひとつ課題を潰し込んで近づいていくという意味では、少しは成果は出てきていると思っています。

──メルセデスが7連覇を達成しました。この7年間の彼らの強さを、どのように見ていますか。

田辺TD:あれだけ強いのだから、(7連覇は)当たり前だと思う人もいるかもしれない。実際に戦っている我々は、もちろんいつかは抜いてやると思っているわけです。財力もありますが、それ以上に知恵を絞って必死に戦っている。そのなかで長い期間にわたって、1シーズンも落とすことなく勝ち続けているというのは、並大抵のことではない。彼らの努力には、本当に頭が下がります。

 戦いを挑む者としては、彼ら以上に努力しないと追いつかない。彼らも止まっているわけではないですし。来季こそ十分に戦いを挑む準備をして、臨みたいと思っています。