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WorldRX:2017-18王者が『RX2e』をテスト。グロンホルムは“プロジェクトE”スポット参戦へ

2020年11月02日 15:01  AUTOSPORT web

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WorldRX世界ラリークロス選手権の2017-18年“ダブルチャンピオン”であるヨハン・クリストファーソンが、電動クラス登竜門向けとなるEVマシン『RXe2』のテストドライブを実施
WorldRX世界ラリークロス選手権の2017-18年“ダブルチャンピオン”であるヨハン・クリストファーソンが、電動クラス登竜門向けとなるEVマシン『RXe2』のテストドライブを実施。2021年創設を予定する電動シリーズのワンメイク車両に対し「第一印象はかなり良かった」と太鼓判を押した。

 また、WRC世界ラリー選手権2冠の“レジェンド”マーカス・グロンホルムは、11月21~22日開催のWorldRX第9戦スパ・フランコルシャンのイベントで、併催の電動クラス最高峰『Projekt E(プロジェクトE)』にスポット参戦することを表明している。

 WorldRX第8戦スペイン・カタルニアで勝利を飾ったばかりのクリストファーソンは、その週末明けにバルセロナ近郊にあるカラファト・サーキットへと移動し、RX2eアンバサダー兼テストドライバーのオリバー・エリクソンとともに、この新生電動ワンメイク車両をサンプリングした。

 スペインの電動機構サプライヤーであるQEVテクノロジーズと、ラリークロスの名門ビルダー、オルスバーグMSEによって開発された電動モデルに対し「電気自動車は初めてだったから、何が期待できるのかわからなかったが、クルマの第一印象はかなり良かった」と語ったクリストファーソンは、さまざまなコーナーとサーフェスが設定されたカラファトのトラックで精力的な走り込みを続けた。

「とにかくいつもどおりにコースへ出て、何度かブレーキを踏み、いくつかのコーナーを回れば、あとはいつものガソリン使用内燃機関車両とおなじように細部の開発作業に取り組むことができた」と続けるクリストファーソン。

「マシンのコクピットで聞こえるサウンドは僕が慣れ親しんでいるものとは少し違ったけれど、思ったほど違和感はなく予想より多くの音が聞こえてきた。全体的に感じはかなり良かったし、競争をする人種にとっては常に改善点を見つけることになるが、これはどんなマシンでもおなじことだよね」

 従来からフォード・フィエスタのボディを架装したワンメイク車両を提供してきたオルスバーグMSEだが、既存のRX2インターナショナル・シリーズ向けとなるスーパーカー・ライトの車両に対し、この『RXe2』はパワーで+24%、トルクで+14%と、両方の出力が向上している。当然、RX2用スーパーカー・ライトのドライブ経験を持つクリストファーソンは、その比較から「電動車両の方が明らかに速い」と結論づける。

「既存のマシンよりEVの方がはるかに大きなトルクを持っているため、走り始めからトラクションを制御する方法がより簡単なんだ。バランスに関してはそれほど差を感じないが、おそらくわずかな重量配分の差で少し速くなり、ハンドリングも良好なんだと思う。クルマはまだ開発初期段階だけど、すべてがまとまれば現行のRX2より確実に速いと思うよ」

■「マシンをドライブしたとき熱意が表面化した」とプロジェクトE参戦のグロンホルム
 2022年からはWorldRXでも電動車両への完全移行が見込まれているが、クリストファーソンもこうしてステップアップのクラスから電動化技術を採用することで、若手ドライバーが競争に必要な支援を確保できる可能性が高くなることが重要だと指摘する。

「全世界がますます電気自動車の方向に向かっていて、このマシンは将来のRX1(電動クラス最高峰として創設予定)に対し非常に良い一歩になると思う。新しい電動スーパーカーは現在の(内燃機関)スーパーカーよりも速く、おなじようにRX2eはRX2よりも速いから、ラリークロスを学ぶのに良いステップになるはずだ」

「これは良い代替品になると思うし、環境に優しいイメージが若いドライバーにより多くの予算を呼び込むことを願っている。これは今日のすべてのスポンサーにとって、非常にホットなトピックだからね」

 一方、すでに2020年からWorldRX併催イベントとしてプレシーズンを開始している電動ラリークロス最高峰『プロジェクトE』に、ビッグネームであるマーカス・グロンホルムの参戦がアナウンスされた。

 現在、GRXタネコWorldRXチームの代表としてWorldRXに2台のヒュンダイi20 RXスーパーカーを投入するグロンホルムは、11月開催のプロジェクトE第3戦でSTARD製のフォード・フィエスタERXをドライブすることが決定。すでに母国のフィンランドでテストを済ませている。

「そう、ここ数日で合計3ラップ“も”ドライブしたから、もうEVのドライビングは完璧にマスターしたさ!」と冗談を放つグロンホルム。

「正直なところ、個人的に電気自動車の最大のファンではなかったが、このマシンをドライブしたとき、再び熱意が表面化した。それほどマシンの振る舞いが良く、印象的だったんだ」と続けるグロンホルム。

「もちろん、家のなかでは“もうレースはしない“と言い続けているから、これは本格的なカムバックじゃないことはハッキリさせておく。でも、ラリークロスがその方向に進んでいるので、私はこれらの電気自動車がどのようなものかを感じることにしたんだ」

 すでにプロジェクトEは2戦を終え、スウェーデン・ホーリエスでの開幕戦はケン・ブロック(フォード・フィエスタERX)が、続くラトビア・リガでの第2戦はフランス出身のシリル・レイモンド(シトロエンC3 ERX)が勝利を飾っている。