キャリコネニュースが10月23日に配信した「"世帯年収に満足"と答えた既婚女性は半数以下」という記事が、ネット上で話題になった。厚生労働省によれば、一世帯当たりの平均所得は552 万ほどのため、世帯年収1000万円というと余裕があるように見られがちだ。しかし、記事で紹介したビースタイルグループの調査結果では
「我が家の主人の年収は1000万円です。でも子どもが3人だとまったく余裕ありません」(40代)
という声も出ており、注目が集まった。ガールズちゃんねるでは「1000万でも子ども3人では余裕ないのか」などと驚きの声が挙がっている。(文:篠原みつき)
「充実した子育てをしたいなら全然足りない」
トピック内のコメントには、子育てにかかるお金、教育費に関する書き込みが相次いだ。
「いつのまにか税金も年金も健保も上がったし、高卒で就職が難しい時代になったからね」
「税金持っていかれたら手元に残るのなんて……より充実した子育てしたいなら全然足りないと思う」
「まさに都内在住、夫の年収1000万超、子ども3人」という人は、これまではなんとか夫の収入だけでやってきたが、
「数年前に長女が医療系大学への進学を視野に入れたので、私もパートに出ました。持ち家ですが車は手放し、子どもたちは中学受験せず、高校は3人のうち2人は私立です」
と内情を明かした。やはり、子どもが進路を考え出した頃が特にお金がかかる傾向がある。学費をどこまで出すかは家庭によって違うので何とも言えないが、「少なくとも自分が親にしてもらった分(習い事や大学)をしようとしたら……うん、余裕はないわ」と一人で答えを出す人も。
今の子育て世代は、親世代よりも賃金が上がらないのに消費税や所得税、大学の授業料は上がり、使えるお金は減っている。コメントには「年収1000万円は3割近く税金で引かれる上に、子ども手当が減額され、高校無償化の対象外」だと不満を書く人も続出。そのため、記事の「世帯年収1000万円でも子ども3人では余裕がない」に納得する人は多かった。
環境で変わる"余裕"の定義
一方、地方ではそこまでかからない、使い方次第、という指摘もある。
「1000万で足りないって言ってる人の中に、海外旅行に行けないって言ってる人がいて、は?って思ってたわ。(中略)まずお金の使い方が違うんだよ」
「GW・お正月は家族で海外行くのが余裕の定義の人もいるし」という声もあるように、レジャーや趣味にどこまでかけるか、教育費をどこまで妥協しないかで、必要な額は変わってくる。
筆者宅にも中学生の子どもが一人いて、公立学校以外の学費が家計を圧迫する事実は否めない。高校受験を控えた今年は、塾代だけで月3万円以上、夏期講習は軽く10万円を超えて胃がキリキリした。世帯年収1000万円に遠く及ばない我が家では、もし子どもが複数人いれば、夫婦2人でもっと働くか、受験期以外の子は塾通いを諦めるという選択を迫られそうだ。
しかし、世帯年収1000万円の場合、この「諦める」という選択はなかなか難しくなってくるのではないか。コメントの中には、職場の人や子どもの学校の友人から当たり前に海外旅行のお土産をもらうため、
「うちは全然行けない、温泉まんじゅうくらいじゃ配れないみたいな、ほんとにそんな些細なことで劣ってると感じる瞬間が多々ある」
とこぼす人もいた。周囲が高収入、なおかつ代々資産家という環境らしい。余裕があるように見られる世帯年収を稼いでいるのに、子どもにお金をかければ海外旅行のひとつも行けないとなれば、不足を感じることもあるだろう。やはり世帯年収の満足度は、単純な金額だけでは測れないものがあるようだ。