2020年10月31日 10:31 弁護士ドットコム
千葉県のホテルが「Go To トラベル」で約63万円分の宿泊予約をした客の無断キャンセル被害にあった。客にはすでに、宿泊費の15%に相当する約9万5000円分の「地域共通クーポン」が発行されており、不正取得目的の無断キャンセルだったとみられている。
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被害にあった館山リゾートホテル(館山市)によると、予約は「8人で5泊6日」。しかし、宿泊日の10月25日に客は訪れず、登録のあった電話番号にかけても出なかったという。
キャンセル料約26万円も入らず、準備した食材なども無駄になった。
「地域の同業者もこういう被害が起こりえるとは知らなかったようで、危険だと思いました」(支配人の飯田貴さん)
問題を広く知ってもらうため、メディアに情報提供したところ、テレビや新聞に大きく取り上げられた。
「Go To トラベル」のクーポンには紙と電子がある。電子クーポンの場合、事前決済の有無に関係なく、宿泊当日の午後3時から発行できるという。さすがにこの時間では、宿も無断キャンセルだとは気づけない。
同様の被害は全国で報告されているという。赤羽一嘉国土交通相は10月30日の記者会見で、「断じて許されるものではない」として、対策を講じる考えを示したという。
飯田さんは「みんなの税金だから、不正取得できないような仕組みを早く整えてもらいたいです」と話す。
クーポンの不正取得だった場合、どんな責任を負うことになるのか。西口竜司弁護士に聞いた。
善意を無駄にする。信じられないことです。こんな悪用は許されませんね。
今回の事件につきましては様々な犯罪が問題となりそうですが、まず詐欺罪の成立が問題となってきます。
具体的には、宿泊する意思がないのに、その意思を隠して予約し、クーポンを取得しており、他人を欺いてクーポンという財物を手に入れており詐欺罪が成立することになります。
また、無断キャンセルをすることによりホテルの業務を妨害したことになりますので、偽計業務妨害罪が成立します。
さらに、電子計算機使用詐欺罪の成立も考えられます。ざっくり言いますとコンピューターを使用して利益を手に入れた場合を処罰する犯罪です。要はコンピューターを利用してクーポン券を不正に取得しており、この犯罪にも該当する可能性があります。
このような今回の行為には重い責任が科せられることになります。
当然のことですが、民事上不法行為が成立し損害賠償請求が認められます。
損害については有るべき状態と現状との差額ということになりますが、今回の場合、犯罪目的ということもありホテルには63万円の損害が生じていることになります。
従いまして、全額損害賠償を請求することができるということになります。
今回のイベントは観光業をサポートするものです。悪用は絶対にしないでください。お願いします。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士Youtuberとしても活動を開始している。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/