新型コロナウイルスの感染拡大によって「接待を伴う飲食店」に厳しい目が向けられる中、サンクスカンパニーは10月21日、高級クラブやキャバクラなどで働く従業員とチャットが楽しめる有料サービス「シン・トーク」をリリースした。
加盟店はクラブやキャバクラ、ホストクラブなど15店舗。東京・六本木や歌舞伎町を中心に、愛知県や和歌山県の店舗も加盟しており、計約1000人のキャストが対応する。今後も全国を対象に、加盟店を増やすとしている。
集客難が続く中、来店の一歩手前でキャストとのコミュニケーション体験
シン・トークは、スマートフォンなどで楽しむウェブサービス。利用には会員登録後、店舗やキャストのプロフィールなどからチャット相手を探して、キャストとの会話を楽しむ。キャスト検索は「話したい内容」「年代」「体型」といったハッシュタグからも可能という。
自身も銀座でクラブ経営に携わった経験がある、ブランドプロデューサーの桃谷優希さん(32)は、同サービスで新規顧客の獲得を見据えている。
「一見さんお断りのクラブもあれば、キャバクラに対して『派手そう』『若そう』といったイメージを持たれている方も多いと思います。シン・トークは、こうしたお客様にとって"一歩手前"でキャストとのコミュニケーションをご体験頂けるサービスになります」
サービスを体験することで、来店のハードル下げることを目指しており、シン・トークは各店舗の"玄関口"のような役割を果たすという。
さらに、桃谷さんは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う報道で、"夜の街"に対して付いている世間のイメージを危惧している。全国的に人の移動が再開し始めている現在も、集客難が続き、多くの店舗ではキャストが稼げない状況が続いているという。
「私たちは、夜の街は限りなく白に近いグレーだと思っています。一連の新型コロナ報道で、付き過ぎてしまった色を元に戻していければ」
シン・トークを客と店舗の間に挟むことで、まずは店舗に行かなくても気軽にキャストとのおしゃべりを体験できる仕組みを提案している。
キャストの"出勤調整"に対応 雇用を守るメリットも
各店舗が"Zoomキャバクラ"などのウェブカメラを使用したオンラインサービスに力を入れる中、シン・トークがチャット形式を取り入れたのには理由がある。キャストと客、双方にメリットがあるからだ。
桃谷さんによると、夜の街で働くキャストの中にはシングルマザーも多く、子育てと仕事を両立する母親にとって、オンライン上で顔を見せながら接客するハードルは高い。また、顔出しする場合は化粧やヘアセットなどの準備も必要になり、キャストの負担が大きくなるという。
当時26歳にしてクラブのオーナーママをしていた桃谷さんが、体調不良でやむを得ず一線を退いた経験も生かされている。「体調不良の時、1円も稼げないのは大変でした」と振り返り、チャット上での接客が可能になることで、キャストたちが無理なく働ける環境にもつなげる。
また、新型コロナウイルスをはじめとした災害、店舗ビルの老朽化などの理由で店舗運営が難しくなった場合にも、シン・トーク内で営業ができ、キャストの雇用を守れるメリットもある。
桃谷さんによると、各店側は同伴予約のないキャストらに出勤を控えてもらう"出勤調整"と呼ばれる対応を頻繁に取っており、特に売上の少ない時期にはキャストの月給を減らすことで経営を維持しているという。シン・トークでは、出勤調整の対象に選ばれたキャストも、出勤せずに客とのチャットを通して稼ぐチャンスを得ることができる。
「出張時、おいしい飲食店を地元のキャストに聞く」といった使い方も
一方、現在普及しているLINEと同様の形式を取ることで、客にとっても「奥さんにバレたくない」などのニーズが満たせるという。
「例えば、お昼を食べながら気軽に――といった利用の形も可能です。もし、スマホの画面にキャストの顔が映っていたら、周りの目が気になりますよね」
と話し、客側にも利点があるとした。
また、ハッシュタグ検索が可能なことで、ワンポイントでも気軽に利用ができる。桃谷さんは「例えば、北海道に出張に行った際、どこで食事をするか迷いますよね」と例を出し、
「キャストの子は同伴などで、おいしいご飯屋さんをよく知っています。『北海道』『食事』などのハッシュタグで検索することで、どこの店が良いかを詳しいキャストに聞くこともできます」
と活用例を説明した。「今後はグループチャットやスタンプなどの機能も追加し、本当のLINEのように活用してもらえるようにしたいです」と話している。
利用料金は1分1ポイント(100円)で、5ポイントから購入可能。現在はオープニングキャンペーンとして、30ポイントまとめて購入した人に対して、10ポイントをサービスしている。
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