2020年10月26日 11:11 弁護士ドットコム
札幌市内を走行していたバスの車中で、女性の髪の毛を舐めたとして、45歳の男性が暴行の疑いでこのほど北海道警に逮捕された。
【関連記事:「私、田中さんと不倫してるんだ!」浮気相手がポロリ、噂は一気に広まった!】
北海道ニュースUHB(10月23日)などの報道によると、事件は10月19日に発生。女性は被害に気づいていなかったが、同じバスに乗っていて犯行を目撃した高校生が学校で教職員に報告。学校から警察への通報で事件が発覚したという。
男性は「女性がかわいかったから、性的興奮のためやった」などと話し、容疑を認めているという。
なぜ、髪の毛を舐める行為が「暴行罪」に当たるのか。
刑法208条の暴行罪における「暴行」とは、「人の身体に対する有形力の行使」とされている。冨本和男弁護士は「犯罪としての暴行は、殴る蹴るだけの行動に限りません。過去には、髪を切ったり頭などに塩をふりかけたりしたケースで、暴行罪に当たると判断された例もあります」という。
一方、刑法204条の傷害罪は、人の生理的機能を害した場合に成立するとされている。今回のケースはどうだろうか。
冨本弁護士は「髪の毛を舐められるというのは、気分的には当然嫌になるものです。ただ、唾液をつけられるとすぐ生理的機能が落ちるというものではないため、傷害罪が成立するかというと難しいでしょう」と指摘する。
なお、性的興奮のために髪の毛を舐めたとのことだが、強制わいせつ罪には当たらないのだろうか。
この点、冨本弁護士は「当たらないと考えます。わいせつ行為は、『いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通の人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反する行為』だとされていますが、髪の毛を舐める行為は一般人の感覚としてそうした性的な行為とまでは言い難いからです」と話す。
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp