仕事量に関わらず、あえて残業代を稼ぐために長時間労働することを「生活残業」と呼ぶ。ガールズちゃんねるに10月中旬、「生活残業について」というトピックが立った。トピ主は、職場の2歳年上の先輩が「時間中はダラダラと過ごし、終業時間(18時)間近になってバタバタして生活残業をします」と不満を綴る。
定時で終わりそうな仕事量でも、ダラダラ残業をしている人の方が給料は多くなる。そのことに「納得していますか?」とトピ主が問いかけると、
「ずっとゆったりしてるのに夕方頃から本気出す人いた!でも上司からは評価されてたよ」
など、身近な生活残業にイライラする人の声が相次いだ。(文:okei)
「うちの職場もにもいる!帰りづらくなるから嫌だ」と不満爆発
トピックには、「うちの職場もにもいる!帰りづらくなるから嫌だ」といった書き込みが多数入っている。
「派遣先で、昼間ずっと何するでもなくファイル開いたり閉じたりしてて、5時過ぎるとメール打ち出す子が居た」
「私仕事量倍で定時で帰ってたのに、時給同じだとしたら多分月10万円くらい収入違ってた」
と書いた人は、「ずるいなあ」と思いながらも、表向きは仲良くしていたそうだ。
「仕事出来ないおじさん程、昇進できないから残業してると思う」など、能力が高くない人ほど残業するという厳しい指摘も。それでも残業している人を評価する上司がいるというから理不尽だ。無駄な残業は生産性が上がらないばかりか、周囲のやる気を削ぐことにもなりかねない。
一方で、「自分の給料に関わり無いしどうでも良い」などと気にしない人たちもいた。
「気にならないかなぁ。そういう人は出世できないような会社だし。目先の残業代より、仕事早く終わらせてスキルと評価あげた方が長い目で見て年収アップするよね」
と建設的に割り切っている。また、「人事の立場からすると残業多い時点でマイナス評価。目先の残業代しか頭にない人は相応の待遇だよ」「会社はボーナスで調整してる」などの指摘もある。最近では、無駄な残業は評価が下がる傾向にもなってきているようだ。
住宅ローンのためにやむを得ず生活残業する人も
他方、働き方改革や新型コロナウィルスの影響で、生活残業ができなくなっている職場も少なくない。
「うちの会社はさっさと帰れってスタンスだから適当な残業はできない雰囲気」
をはじめ、同僚が残業代込みで住宅ローンを組んだらしいと書いた人は、「うちは来月から残業は完全無しになるのに」と冷ややかだ。残業がほぼ禁止になったという職場の人は、「それで回ってるってことはみんな生活のために残業してたフシがあるよね」と感想を漏らしていた。
生活残業は昼間ダラダラしているなら迷惑だが、残業しなければ本当に生活が成り立たず、住宅ローンや子どもの学費のため、やむを得ずしている人もいるだろう。
日本総合研究所・山田久氏の著書、『賃上立国論』(日本経済新聞出版社/2020年2月発行)によれば、
「ドルベースに換算した日本の製造業の賃金(時間当たり)は、2000年時点では、米英独仏の主要先進国に比べて1割弱から4割弱高かったが、2016年にはいずれの国よりも低い状況になった」
という。一部の職種では、いまやアジア(上海や北京など)のほうが高いケースもみられるとある。日本の賃金はこの20年で下がり続けている上に、消費税や所得税負担は上がっており、残業代ありきで生活を維持してきた人が多いことは否定できない。
もちろん生活残業ではなく本当にバリバリ働きたいとか、仕事が好きで残業をしている人もいる。しかし、そもそもの給料が残業しなくても安心して暮らせる金額なら、生活残業はしたくない人のほうが多いのではないだろうか。