今年4月、改正健康増進法の施行によって、飲食店や公共の施設などでの喫煙が全面的に規制された。飲み屋でも灰皿が撤去され、コンビニの店頭の喫煙スペースもなくなった。副流煙を非喫煙者が吸い込む機会はグッと減ったことだろう。
この余波はパチンコホールにも及んでいる。タバコを咥えながらハンドルを握ったおじさんたちが跋扈するイメージの強かったパチンコ屋もまた、4月を機に全面禁煙となった。現在ではタバコを吸う場合、遊技台から離れて新設された喫煙スペースに入り、そこで喫煙しなければならない。
裏を返せば、タバコ臭いイメージの強かった環境のパチンコホールの空気は4月以降、素晴らしく清浄になったと言える。(文:松本ミゾレ)
かつては服がヤニ臭くなったものだが……
パチンコホールって昔からタバコ臭い施設ではあったんだけど、店舗によっては4月以前もかなり空調に気を遣っていたものだ。ある店では、何年も前から分煙を既に徹底していたし、ある店では高価な空気清浄機を導入し、できる限りタバコ臭いホールにしないように心がけていた。
しかし、それでも終日ホールに滞在して時間を潰していると、帰る頃には上着にうっすらヤニ臭さが染みついていた。やっぱり、どれだけ設備投資にコストをかけても、根本的なタバコの害をなくすことは不可能だったわけである。
完全に禁煙化されるようになって以降のパチンコホールは、まさしくその欠点を克服したと言っていい。
僕はタバコはやらないがパチンコ屋に出入りはしている。喫煙者よりはヤニ臭さに敏感だと思っているが、やっぱり今のパチンコホールって、一歩足を踏み入れた時点で、かつてのようなタバコの匂いはもうしない。店を出た後、上着を嗅いでみても、ヤニ臭さは感じられない。
一方で喫煙スペースの前を通るだけで「クッサ」と声が出そうになるほどタバコの匂いが鼻に付く。「昔はこんな匂いの中、遊んでたんだなぁ」と感慨深いものを感じた。そうそう。僕は高卒で一時期パチンコホールの社員だったけど、誰もかれも従業員は鼻毛が伸びるのが早かった。
理由は、職場の空気が汚れているからである。冗談抜きに、仕事が終わって鼻をかむと、うっすらタバコの匂いを感じることもあった。スタッフにとっては、間違いなく働きやすい環境になったことだろう。
いまやパチンコホールほど空気が清浄なレジャー施設はない!?
空調に気を遣っていたホールも、設備はそのままに禁煙に踏み切った。ただでさえ空気が綺麗になったのに、空気清浄機も上等なものが既にあるわけで、下手をすると今はパチンコホールこそが、一番空気の綺麗なレジャー施設なのかもしれない。
ところでこの前、2ちゃんねるに「禁煙化したパチンコ屋、快適すぎた」というスレッドが立っていた。禁煙化以降のパチンコホールに対するユーザーの声が並んでいる。いくつか紹介していきたい。
「服が臭くならないのが大きい」
「本数減ったわ。パチ屋行ったら1箱半吸ってたのに10本も吸わんようになった」
「退屈すぎてハマったらすぐ帰れるようになった」
「今年の健康診断たのしみだわ」
と好意的に考えている人たちの書き込みが見て取れる。中には「納得いかない。吸わせろ」という意見もあるんだけど、概ね禁煙化はよい結果をもたらしているようだ。
やっぱり、全面禁煙に文句を言っても仕方がないわけで、そこをみんな弁えて、メリットを享受しようと考えている節はあるのかもしれない。タバコを吸うなら別途用意された喫煙スペースでも一応吸えるわけだし、愛煙家の人たちも、慣れてしまえば別に気にならない様子だ。
というか、パチンコホールに来るお客さんって、なんか無法者が多い印象を持つ人もいるかもしれないが、実際そうでもない。今で言えばちゃんとマスクを着けたまま来店するし、店員さんの指示に従って遊技してるし。
あとは、それぐらいお行儀よく遊んでいるお客さんのために、もうちょっとお店も還元してくれたらなぁ。