ベルギー・ゾルダーで開催されたDTMドイツ・ツーリングカー選手権第8戦。18日に行われたレース2は、レネ・ラスト(アウディ・スポーツ・チーム・ロズベルグ)が勝利し、4連勝を達成。チャンピオンを争うニコ・ミュラー(アウディ・スポーツ・チーム・アプト・スポーツライン)に19ポイント差をつけて最終戦に挑む。
2週連続でゾルダーを舞台に争うDTM。4戦目となるレース2でも絶対王者ラストが強さを発揮した。
予選では、前日初表彰台を獲得したフェルディナンド・ハプスブルクWRTチーム・アウディ・スポーツ)が初ポールポジションを獲得。2番手にラストが続き、ロビン・フラインス(アウディ・スポーツ・チーム・アプト・スポーツライン)が3番手。ミュラーは5番手につけた。
曇り空のなか迎えた決勝レース。ハプスブルクとラストが並んで1コーナーへ。さらに5番手のミュラーが好スタートを見せ3番手に浮上する。
ハプスブルクはトップをキープし、ラスト、ミュラーが続いていく。3番手スタートのフラインスは、ファビオ・シェラー(WRTチーム・アウディ・スポーツ)にも交わされ5番手に。
2優目、フラインスはシェラーの前にでるも、ジョナサン・アバーディン(BMWチームRMR)が、前を走るシェラーに追突。フラインスも巻き込まれ、2台はその場でストップし、リタイア。フラインスの逆転チャンピオンは厳しい状況になってしまった。
アバーディンもマシンを大きく破損させ、ピットへと戻る。このクラッシュでセーフティカーが導入され、レースは55分+3周に変更される。
6周目にレースは再開。ハプスブルクがトップをキープ。ミュラーはラストに並びかけるが前にできることはできない。
後方では、ブノワ・トレルイエ(アウディ・スポーツ・チーム・フェニックスが、)ルーカス・アウアー(BMWチームRBM)と接触。アウアーはダメージがなかったが、次のコーナーでフィリップ・エンゲ(BMEチームRMR)と接触し、右フロントの足回りを破損。エンゲもストップし、再びセーフティカーが入る。
リスタートは11周目。ハプスブルクはスタートを決め、上位陣の順位は変わらない。
ハプスブルクは、12周目終わりでタイヤ交換へ。ミュラーも続いていく。翌周ラストとマイク・ロッケンフェラー(アウディ・スポーツ・チーム・フェニックス)がピットイン。
ラストは右フロントが少し遅れるもハプスブルクとミュラーの前でコースへ復帰。ハプスブルクは、ロッケンフェラーを交わすのに手間取り、ラストを逃がしてしまう。
トップのロバート・クビサ(オーレン・チームART)は、18周を走り最後にピットイン。4番手でコースに復帰し、ジャンプアップに成功する。
ラストはトップに立つとハプスブルクとの差を広げ、レースをリードする。
ハプスブルクはタイヤが厳しくなったのか、ミュラー迫られると26周目にミュラーがオーバーテイク。さらにクビサが襲い掛かる。
クビサは、27周目の最終コーナー前でハプスブルクを交わし3番手に浮上する。ハプスブルクは、ポジションをキープできず再びタイヤ交換を行い最後尾に落ちてしまう。
ラストはリードを広げ、ミュラーと11秒差をつけてトップチェッカー。ゾルダーで4連勝を飾った。
ミュラーは2位。両者は19ポイント差で最終戦ホッケンハイムを戦うこととなった。クビサは3位に入り、初表彰台を獲得した。
「信じられないね。ゾルダーで4つすべてに勝ち、ほぼ最大にポイントを獲得できた。まったく予想外だよ」
「スタートはよかったけど、1コーナーで少しワイドに出てしまった。セーフティカーも2回出て、少し混乱していたね。うまくオーバーカットもできた。涼しい気温でもうまく対処できているので、ホッケンハイムの最終戦は30度にならないことを願っているよ」とラスト。
シーズン序盤は大きくポイントをリードしたものの、ランキング2位で最終戦に臨むこととなったミュラーは、「ゾルダーでの10日間は、非常に大変だった。今日は2位に満足しなければならないね。できる限りのことをしたけど、レネ・ラストを追いかけるには十分なペースではなかった。ホッケンハイムでは、素晴らしい対決が待っているよ」と振り返った。
DTMデビューシーズンは厳しい戦いを強いられていたクビサは、「とてもハッピーだね。予想はしていなかったけど、戦略は完璧だった。ミュラーが目の前にいて、僕の方がペースは速かったが、タイヤを管理して3位を持ち帰ることがより重要だった。チーム全体にとって大きな瞬間だよ」とコメントしている。
チャンピオン争いは11月7、8日に行われる最終戦ホッケンハイムへ。数字上では、フラインスにも権利はあるが、ラストとミュラーの一騎打ちはどんな結末を迎えるのだろうか。