上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、医療ポータルサイト「M3.com」を運営するエムスリー(東京・赤坂)を取り上げます。
エムスリー社員の平均年収は882万円
最新データ(2020年3月期)によると、エムスリー社員の平均年間給与は822.1万円。右肩上がりに増えており、4期前より約89万円増えています。
- 2016年3月期:733.2万円
- 2017年3月期:774.8万円
- 2018年3月期:788.5万円
- 2019年3月期:790.9万円
- 2020年3月期:822.1万円
この額には、賞与や基準外賃金(手当など)も含まれています。ある中途採用求人によると、給与は年俸制で、総額の5~10%分を業績連動賞与とし、残りの12分の1が月給となるそうです。
年俸822万円の場合、約10%の82万円が賞与で、残りの740万円を12ヶ月で割った61.7万円が月給という計算となります。
なお、このデータはエムスリー単体のもので、連結子会社などのグループ会社は含まれていません。この金額はNTTデータの833.8万円に迫る高水準です。
2021年3月期の第1四半期は、売上高が前年同期比15%増の354億7800万円、営業利益が同26%増の112億5300万円と好調。営業利益率31.7%と同2.8ポイント改善し、収益性をさらに高めています。
セグメント別では、コロナ禍の影響でキャリアソリューション(医療従事者等向け人材サービス)などで一時的な需要減少がありましたが、主軸のメディカルプラットフォーム(医療関連会社マーケティング支援等)が売上利益ともに大きく伸びています。
エムスリー社員の平均年齢は34.7歳
次に従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
エムスリー社員の平均年齢は34.7歳。ざっくり言うと、30半ばで800万円台に乗る人が多いということでしょうか。
- 2016年3月期:308人(34.8歳・3年2ヶ月)
- 2017年3月期:332人(35.5歳・3年6ヶ月)
- 2018年3月期:364人(35.9歳・3年11ヶ月)
- 2019年3月期:421人(35.3歳・3年7ヶ月)
- 2020年3月期:473人(34.7歳・3年3ヶ月)
平均年齢はNTTデータの38.9歳より4歳も若く、エムスリーは同年代の給与で勝るとも劣らない水準であると推測されます。
エムスリー本体の社員数(単体)はこの4期間で1.5倍超に増えていますが、平均勤続年数は3年あまりと横ばいになっているところが特徴です。中途採用が急増しているのでしょう。
なお、グループ全体(連結)では2016年3月期の3,556人から、2020年3月期の7,127人へと倍以上に増えており、業容が急拡大していることが伺えます。
時価総額でホンダ超え、求人は豊富
エムスリーの株価が急上昇しています。
コロナ禍の影響による世界同時株安により、エムスリー株は3月13日に2,319円まで落ち込みましたが、そこから右肩上がりにぐんぐん伸び、10月15日には7,370円の年初来高値をつけています。
時価総額も5兆円に近づき、ホンダなどを超える東証21位に。エムスリーの将来性に期待する人が、それだけ多いということでしょう。
コロナ禍によって、医療現場のマーケティングは大きく変わることが予想されます。従来は高給のMR(医薬情報担当者)に医師を訪問させていた製薬会社は、アプローチ方法を「M3.com」に置き換えつつあります。
「オンライン診療」「AI診断」などに対する需要の高まりは、既存事業のみならず新規の事業機会を創造する可能性があります。LINEヘルスケアを通じたオンライン診療サービス「LINEドクター」が11月に提供開始予定です。
本体の社員は500人未満、グループ全体でも7,000人あまりのエムスリーですが、今後も業績拡大にあわせて社員を増やしていくものと思われます。
幅広い職務で求人が出ていますが、ハードルは低くありません。自分のキャリアがどのポジションに合っているのか、あらかじめキャリアコンサルタントに相談してから、売り込み方の作戦を練って攻めていく必要があるでしょう。
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