「もう忙しすぎて、休む暇もありません」
「研修に出ている場合ではないのです。やる事が多くて」
これは私が担当する管理職研修の中で、参加者のみなさんから投げ出される“心の叫び”です。多くの皆さんがプレイングマネジャーであり、自分の仕事と組織をまとめる仕事の両立に追われ、同じような思いを持っているのではないでしょうか。
今回は、このような思いが少しでも軽減できるための時間術について話を進めてまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)
To Doリスト、ちゃんと使えていますか?
みなさんは、やらなければならない仕事や打ち合わせ、顧客対応の時間をどのように管理されているでしょうか。
・一か月見開きの手帳にTo Doリストを記載し、各種の予定に関してはスタート時間と内容を記載している。
・やらなければならないことを付箋紙に記載し、見える所に貼っておき、澄んだものから消し込んでいる。
・携帯の手帳アプリとTo Doアプリを活用して、やるべきことを明確にしている。
といった形で管理されている方が多いのではないでしょうか?
ただ、一般的にこのやり方だと以下のようなことが起こりがちです。
・To Doリストのやらなければならないことややる事の書いた付箋紙を消し込んでいくのだが、やりやすいものから取り組んでしまうため、常にリスト上に残っている仕事が存在してしまう。
・予定を組んでいた会議や資料作成の仕事等にどれだけの時間を使ったのかが解らず、会議と打ち合わせの間や、仕事と仕事の間の隙間ムダ時間が多く発生してしまう。
このようなことを避け、時間を有効に使うにはどのように時間管理を行ったらいいのでしょうか。
所要時間は意識して短めに見積もる
前述のような仕事の管理の仕方を“タスク管理”と呼びます。タスクを見える形にして、見えたものからこなしていくといったやり方です。自身で優先順位をつけ、その仕事にどれくらいの時間がかかるのかを正確に理解されている方であれば、うまく時間を使うことができるでしょうが、通常はなかなか上手くいきません。
タスク管理からスケジュール管理に時間の管理方法を変更し、確実に仕事をやり遂げ、仕事にかかる時間のPDCAをまわしていく必要があります。
スケジュール管理とは、10分もしくは15分の刻みある一日のスケジュール帳に、仕事の概算時間(スタート時間からかかる時間を含めて)を予定が入ったら取り組もうと思う時間にすぐ記載していく手法です。
この方法だと、さまざまな仕事にどれくらい時間がかかるのかが理解されてきます。手帳はできることなら、一週間の見開きで、毎日のスケジュールを10分もしくは15分刻みで記載できるものを使っていきましょう。ここに作業や会議にかかる時間(※スタートから終了まで)を予想して記載していくのです。
例えば、火曜日の13~15時に提案書作成、16~17時に会議といった感じです。そして、その作業や会議が終了したら、どのくらいの時間がかかったのかを見直していくのです。すると、次回に同じような仕事をスケジュールする際に、この作業は〇時間で済むといった正確な見積もりが出来るようになっていきます。タイムマネジメントの基本とは、この時間のPDCAをまわしていくことが一番大切なのです。
最初に時間を見積もる際のポイントとしては「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というパーキンソン第一法則と言うものがありますので、意識して短めに見積もることがお勧めです。現在、私は仕事が決まったら、手帳に10分刻みでやるべき時間に入れるようにしています。これによってやる事の取りこぼしがなくなり、自分の時間を効率的に使えるようになっています。
是非、自分自身の時間管理をスケジュール管理に変更し、忙しい思いの軽減に繋げていただければと思います。また、忙しくしている部下にも、スケジュール管理の手法を伝え、生産性高いチームをつくっていただければと思います。
今回は「忙しい」といった管理職のみなさんの想いを時間管理といった観点から軽減できる手法についてお話ししてまいりました。そろそろ2021年に使う手帳を考え出す頃かと思います。是非、スケジュール管理のできるものをお選びください。
【著者プロフィール】田岡 英明
働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント
1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。