トップへ

「毎日スマイル無料」掲げ、路上で物乞いをする男性に45万円が集まる(南ア)

2020年10月16日 06:51  Techinsight Japan

Techinsight Japan

「スマイル無料」のボードを掲げる27歳の男性(画像は『Lusindiso 2020年9月1日付Instagram「Zero Cost. Zero Down Payment. Zero Interest. Zero EFFORT.」』のスクリーンショット)
新型コロナウイルスによる経済の打撃は大きく、国際労働機関(ILO)は2020年第2四半期中に世界中の労働時間の6.7%が消滅、およそ1億9500万人のフルタイム労働者が職を失うことに相当すると発表した。そんななか南アフリカで、失業中でありながらも笑顔を絶やさず、ユーモアを生かしたメッセージで人々の優しさに出会った男性がいる。『TimesLIVE』などが伝えた。

【この記事の他の写真を見る】

南アフリカでも多くの人が労働時間の短縮、失業という困難に直面しており、ルシンディソ・マルガスさん(27)もその一人だ。東ケープ州出身のマルガスさんはケープタウンの工場内で梱包作業をしていたが、このたびの新型コロナウイルスの影響により職を失った。最初は労働日数を減らされて給料を減額されていたのだが、会社もこれ以上雇い続けることができないとしてマルガスさんを含む多くの人を解雇したという。

そこで3人の子供を持つマルガスさんは、お金を稼ぐためケープタウンの路上で物乞いを始めることにした。ケープタウンの道路では、信号待ちの運転手に物乞いや物売りをしている。その多くは「家族がいて、仕事がない。助けてほしい」といったメッセージを掲げているが、見飽きている運転手は興味を持たず、マルガスさんも始めは全くうまくいかなかったそうだ。「なぜ私がここにいるのか、何をしているのかを理解してもらえなかった」と落ち込んだというが、ダンボールに書かれた彼のメッセージを面白いと思ってくれる運転手が何人かいたため続けることにした。マルガスさんのメッセージは、幼い頃から人を笑わせることが好きだった彼ならではのもので「ランチに行こう、あなたが払ってね」、「いつでも毎日スマイル無料」、「20ランドくれたら、ラマポーザ大統領に投票しないよ」など、生活の困窮を訴えていない内容だった。


そのうちにマルガスさんは、人々の優しさに出会う。あるレストランはマルガスさんのメッセージに目をつけ、レストランの名前を入れたメッセージを出す代わりに彼をサポートするようになった。またスーパーでたまたま出会った女性は、マルガスさんの事情を知ると「あなたとあなたの家族のために」とその場で1000ランド(約6300円)を渡してくれたそうだ。

マルガスさんを毎日見ていたドライバーのブレンダン・コットルさんはある日、彼と話をした。「なぜいつも彼がハッピーなのか、なぜここにいて、いったい何が彼に起こったのかを知りたかった」と語るコットルさんは、事情を知ってインスタグラムを立ち上げ、新しいメッセージができたら写真を送るようマルガスさんに伝えた。そのマルガスさんのインスタグラムは現在、4100人を超すフォロワーがいる。さらにインスタグラムからクラウドファンディングへリンクしており、彼の家を買う資金25万ランド(約158万円)を募っている。現在のところ寄付金は7万1000ランド(約45万円)に達していた。

コットルさんは「ゴールには必ず到達する」と前向きなコメントをしており、一方でマルガスさんは「25万ランドが集まったら家や家具を購入し、残りのお金で新しくTシャツ印刷のビジネスを立ち上げたい」と抱負を述べているそうだ。「募金してくれる人々にも彼らなりの問題があるはずなのに、私を助けるために少しだけでもお金を出してくれる。私にとっては非常にうれしいことです」と全く知らない人からの優しさに感動しているマルガスさん。現在マルガスさんの子供たちは東ケープ州に住むマルガスさんの両親のもとで暮らしているそうで、遠く離れた子供たちに会うためにマルガスさんは日々奮闘している。

画像は『Lusindiso 2020年9月1日付Instagram「Zero Cost. Zero Down Payment. Zero Interest. Zero EFFORT.」、2020年8月28日付Instagram「@dudewithsign I got your pose covered here in #capetown」、2020年9月17日付Instagram「I am grateful though for Level 1.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)