トップへ

「静かな女性差別」に気づいた30代男性管理職の投稿に反響 女性比率が高くても経営会議は男性だけ、という会社

2020年10月15日 17:50  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

はてな匿名ダイアリーに10月12日、「おっさんが『静かな女性差別』に気づいた話」というエントリがあり注目を集めた。投稿者は30代後半、中規模ベンチャー企業の男性管理職で、「最近になって自分の働く会社が女性差別をしていることに気付いた」という。

以前は自社のことを「人材に垣根を設けない良い会社」「男女比率3:7、むしろ女性が活躍している職場」だと思っていたそうだ。違和感を覚えたのは、マネージャーに昇進し、初めて経営会議に出席したときで、

「いざ出席してよくよく見渡したら周りにいるのが自分を含めて見事に全員おっさんだった」

と居心地の悪い驚きを語り始めた。(文:篠原みつき)

「女性は出世させる気のない『愛玩労働者』」と気づく

いざ自分が出席して当事者意識を持つまで、その比率について考えたこともなかったという投稿者。

「だからその時はじめて、この会社の意思決定に女性は1ミリも参加していないとわかった」

と綴る。女性のマネージャーがいないわけではないが、裁量権のない小さなチームの責任者というだけ。「便宜上マネージャーと呼ばれているだけで、『女性にも役職与えてますよ』っていう対外的なポーズにしか過ぎなかった」と驚愕していた。さらに、いくつか気づけたこととして、「社員の女性比率」についてこう語る。

「中世の『貴族に対して農民が多い』ってのとまったく同じ状況」
「むしろ少数のおっさん達が、出世させる気のない存在、つまり『愛玩労働者』としての若い女性を採用している。愛玩労働者に求められるのは、業務遂行能力と愛嬌と、良い感じに働いた後に転職してくれることだけだ」

このほか、「女性社員の昇進」について「彼女らはスキルアップしないのではなく、させてもらえないのだ」と指摘。たとえ大きな成果を出せても功績を認めない場合も多いという。また、賃金を抑えてバリキャリママを使いたい経理マネージャーが、「働くママを応援!」と求人広告を出したしらじらしさも明かしている。

投稿者は、自分が出世した理由は「自分が男性だったからというだけ」と素直に喜べない気持ちや、自分が今と同じ仕事能力を持った女性だったら、今と同じ地位や給料でいられるのかなど、複雑な心情を綴っていた。

「気づいて疑問に思ったおっさんがいて良かった」という称賛多数

はてなブックマークは600以上のコメントがつき、「せっかく気づいたのだから今後を変えてほしい」という要望が多かった。

「気づいてくれたおっさんは偉い。その偉い立場で経営会議に参加できる女性マネージャーを推すのだ」
「これが現実だよ。気づいて疑問に思ったおっさんがいて良かった。これを機に変化が起こり続けて欲しい」

また、労働待遇の低さにあえぐ女性の声も複数ある。「結婚して出産して人生ステージ進めるたびに総合職から事務職、正社員から非正規になった」と書いた人は、

「出産後に1000円満たない時給しか選べなかったとき本当に虚しかった。『貴族と農民』『愛玩労働者』とか、妙にしっくりくる」

と綴っていた。能力が落ちた訳でもないのに、労働力を買い叩かれる虚しさを感じている人は多い。「ただでさえ人口減ってきてるのに、人間の半分の才能を有効活用せずに捨ててるんだから、アホな話だよ」など、社会批判も多数寄せられている。

後世に差別を引き継がないために、まずは気づくことが大切

差別の度合いは企業体質によって違うだろうが、投稿者の気づきはアラフィフ女性の筆者からしてみると「何をいまさら」という気はする。世界各国の男女平等の度合いを指数化した「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」(2019年12月世界経済フォーラム発表)では、日本は153カ国中121位と過去最低、主要7カ国(G7)では最下位となっている。だが、これを気にしている人はどれほどいるだろう。

男女雇用機会均等法が成立した1980年代、ある経営者は「女性活躍ってのはいい時代だね。安い賃金で大学とか大学院出た人たちが働いてくれるんだからね」と言ったという。差別しているほうは、している自覚もないことが多いのだ。30年以上変わっていないのかと虚しくもなるが、後世にこうした状況をそのまま引き継がないために、まずは気づくことが大切なのだろう。