トップへ

スーパー耐久:「いまの坪井は手をつけられない状態」ST-4クラストップ戦いを見守った土屋武士

2020年10月12日 19:01  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

チェッカー後、土屋武士(Weds Sport 86)と言葉を交わした坪井翔(GRGarage水戸インターGR86)
ピレリスーパー耐久シリーズ2020第2戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』。10月10日に行われたGr-2 決勝レース、ST-4クラスはGRGarage水戸インターGR86(久保凜太郎/細川慎弥/坪井翔組)がポール・トゥ・ウィンで今季2連勝を決めた。

 勝敗の分かれ目は二度目のセーフティーカー明け。リスタート時点で坪井がステアリングを握るGRGarage水戸インターGR86はENDLESS 86の松井孝允、林テレンプ SHADE RACING 86の石川京侍に続くクラス3番手を走行していた。ヘビーウエットのコンディションのなか、トップドライバー3名はクリーンなバトルを展開。そんな3台のなかで最もペースが速かったのは、3番手を走る坪井だった。

「レース中最初のセーフティカーが開けた後は、ST-5クラスが間に入ってきてちょっと離れたんですけど、ペースは一番良さそうだなというのは正直感じていました。これは追いつくことができればチャンスはある、と思って追いついたところで2度目のセーフティカーが入りました」と坪井。

「2度目のセーフティカーでST-4クラストップの3台のギャップが詰まったので、リスタートからチャンスを狙って前の2台を抜かなきゃ勝てないのはわかっていたので、自分が速いポイントを見つけて狙って、それが結果的にうまくいって2台を仕留めることができました。自分にとってもすごく内容の良いレースになったかなと思います」

 91周のレースのうち60周のロングスティントを務めた坪井。コース上でライバルをかわし、チームを連勝に導いたことに満足した様子だった。

 30周に及んで坪井と接戦を繰り広げ、2位でチェッカーを受けた松井孝允(ENDLESS 86)は2018年のスーパーGT GT300クラスではHOPPY 86 MC、そして2019年のスーパー耐久 ST-4クラスではTOM’S SPIRIT 86で坪井とチームメイトだった。

 このふたりの戦いをコース上から見守っていたのが4位でチェッカーを受けた土屋武士(Weds Sport 86)だ。武士はつちやエンジニアリングの代表として愛弟子の松井をトップドライバーに育て上げ、さらに坪井の将来性に期待し、2018年のHOPPY 86 MCのドライバーに起用。ふたりにとってはまさに“師匠”と呼べる人物だ。

「どっちが勝つかなと思って、勝った方に奢ってもらおうかなみたいな(笑)。去年のチームメイトとやってるわけだし、たぶんふたりで楽しむんだろうなと思ってました。SUGOが得意な孝允と、バトルに強い坪井って構図で、本当はもっと近くから見てみたかったんだけど、残念ながらちょっとセットアップ……というより内圧を失敗したので見ることができなかった」

「でもふたりで楽しそうにやってるなっていうのは(走りながら)ずっとサインボードで見てました。もうちょっといい状態で近くから見たかったですね」とレース中もふたりの戦いをチェックしていたことを明かした。

「スーパーフォーミュラで優勝したし、スーパーGTのGT500クラスでもランキングトップだし、今の坪井は手をつけられない状態(笑)。ただ、孝允もそうなんですけど、坪井は“積み上げて速くなっているドライバー”なので安心感はあります」と、つちやエンジニアリング卒業生でもあり、スーパー耐久ではライバルとなった坪井を高く評価した。

「今日のレースはプロ同士のいいバトルだったと思います」

 ひとりのレーシングドライバーとして、成長を見守ってきた若手には負けたくないという思いもあるという土屋だが、坪井と松井のバトルに満足げな表情を浮かべていた。

 第2戦まで連勝のGRGarage水戸インターGR86の勢いを止めるのはどのマシンなのか。ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久in岡山』は10月31日~11月1日に岡山国際サーキットで開催される。

 国内トップカテゴリーのドライバーも多数参戦するST-4クラスは引き続き目が離せないレースが展開されそうだ。