政府は10月、就職氷河期世代支援に積極的に取り組む10自治体の10事業に対し、計約7000万円の交付を行うことを決定した。就職氷河期世代の就労や社会参加の取り組みを支援する自治体に対する交付金制度の一環で、3、7月に続く3回目。
交付は、事業実施計画・交付金計画を提出した自治体に対し、外部有識者の審査を経て、事業費の4分の3を国が補助するもの。今回は、新型コロナウイルスの影響による雇用情勢の悪化を受け、専門相談員の増員や支援対象人数を増やすなどの取り組みを掲げている長野県、岐阜などの8府県、1政令都市、1町に対する交付が決まった。
長野県「コロナ禍による雇用情勢の悪化を受け、支援対象人数を増加」
長野県は「ジョブカフェ信州正社員チャレンジ事業」(事業費957万円)と題して、就職氷河期世代がスムーズに正社員になれるよう支援。個別相談からマッチング、紹介、予定派遣制度による県内企業での職場実習を一貫して行う。今回は、コロナ禍による雇用情勢の悪化を受けて、支援対象人数を増加した。
岐阜県の「就職氷河期世代活躍支援事業」(同126万円)では、就職氷河期世代支援の枠組みを見直す。臨床心理士、出張相談員の増員といった相談事業の拡充に加え、小グループ制の連続講座(就活塾)を行っている。好評を受け、開催回数を増やすという。
大阪府では「住宅付き就職氷河期世代就職支援事業」(同1183万円)に取り組む。民間支援団体と連携して就職支援を行うとともに、府営住宅の空室を活用し、入居者同士のコミュニティー形成などを通じて社会人基礎力の養成や定着支援を実施している。
高知県は「若者サポートステーション事業に係る就職氷河期世代支援」(同1343万円)を通じて、ひきこもり傾向にある就職氷河期世代の就職などを目指す。訪問相談やオンライン面談、セミナー、職場見学を実施するほか、職場開拓員の配置、職場体験の提供などを行うとしている。
政府は2019年、就職氷河期世代の支援に3年間で計650億円超の予算を確保すると明かしており、今回の交付金事業もその一つ。全3回で71自治体99事業への交付を決定しており、交付額は計11億円にのぼる。