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『鬼滅の刃』は『SLAM DUNK』の記録を越えるか? ジャンプ作品が上位席巻、コミックス週間ベストセラー

2020年10月12日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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■週間ベストセラー【コミックス】ランキング(2020年10月6日トーハン調べ)
1位『鬼滅の刃』(22) 吾峠呼世晴 集英社
2位『約束のネバーランド』(20) 白井カイウ(原作)/出水ぽすか(作画) 集英社
3位『呪術廻戦』(13) 芥見下々 集英社
4位『ONE PIECE』(97) 尾田栄一郎 集英社
5位『BURN THE WITCH』(1) 久保帯人 集英社
6位『ブラッククローバー』(26) 田畠裕基 集英社
7位『キングダム』(59) 原泰久 集英社
8位『異世界居酒屋「のぶ」』(11) 蝉川夏哉(原作)/ヴァージニア二等兵(漫画)/転(キャラクター原案) KADOKAWA
9位『終わりのセラフ』(22) 鏡貴也(原作)/山本ヤマト(漫画)/降矢大輔(コンテ構成) 集英社
10位『終末のワルキューレ』(8) アジチカ(作画)/梅村真也(原作)/フクイタクミ(構成) コアミックス


 10月6日トーハン調べの週間ベストセラーランキングの結果が出た。「コミックス」のジャンルの1位が『鬼滅の刃』の22巻というのは、まあ誰もが予想していた通りだとは思うが、2位から6位までもすべて『週刊少年ジャンプ』連載作の新刊(※)であり、あらためて「ジャンプ・ブランド」の強さを世に知らしめる結果となった。


(※)『ONE PIECE』97巻のみ9月に発売されたもので、それ以外は10月2日発売の新刊。


 なかでも、いま最も勢いに乗っているのは3位の『呪術廻戦』ではないだろうか。この10月からテレビアニメの放送も始まり、今後の視聴者の盛り上がり方次第では、昨年『鬼滅の刃』が見せたのと同じような爆発的なブレイクもありうるかもしれない。


 また、2位の『約束のネバーランド』は、この20巻が最終巻。『鬼滅の刃』とともにここ数年の『少年ジャンプ』を支えてきた問答無用のヒット作だが、人気があるからといってあえて物語を引き延ばさずに、描くべきことを描いて幕を引いた潔い作品であった(同じことは『鬼滅の刃』についてもいえるだろう)。


 さて、1位の『鬼滅の刃』だが、毎回ランキングの順位を「鬼滅一色」に染め上げていた頃に比べたら、やや既刊の売れ方が落ち着きを見せ始めてはいるものの、あいかわらず強いといえば強い。何しろ、今回の22巻を含めたシリーズ累計発行部数は1億部を突破しているのだ。今後も、劇場版アニメ(『無限列車編』)の公開でさらに盛り上がることだろうし、最終巻となる23巻(12月4日発売予定)が出る頃には、もしかしたら、シリーズ累計1億2000万部発行(2018年のデータ)といわれている『SLAM DUNK』(井上雄彦)と肩を並べているかもしれない。いずれにせよ、この出版不況といわれている昨今、化け物のような数字である。


 最後に、今回ランクインしたなかで、個人的に最も注目している作品を紹介したい。それは、『BLEACH』の久保帯人の新作、『BURN THE WITCH』だ(5位)。


関連:【画像】『BLEACH』久保帯人の新作『BURN THE WITCH』1巻書影


 『BURN THE WITCH』は、2018年に発表されて大反響を呼んだ読切作品がシリーズ連載化されたもので(なんとこの1巻が発売された段階で、アニメ化もされている)、主人公は「ニニー」と「のえる」というふたりの少女。物語は「表(フロント)ロンドン」の裏側にある「リバース・ロンドン」で繰り広げられるのだが、その世界には「ドラゴン」と呼ばれる異形の存在がおり、ロンドンにおける全死因の72%に“それ”が関わっているという。


 ニニーとのえるは、ドラゴンの保護と管理を任された機関「WB(ウイング・バインド)」所属の魔女なのだが、タイプの異なるふたりのキャラの掛け合いというものは(バディ物のセオリーではあるが)読んでいてひたすら心地いい。また、ブルーノ・バングナイフをはじめとした、個性的な「トップ・オブ・ホーンズ」の面々の今後の活躍にも期待したい。


 なお、同書は本体600円+税と、「ジャンプ コミックス」としてはやや高めの定価が設定されているが、本文のページ数が他よりも多いだけでなく、鮮やかな深紅のカバーを外すと、ヒロインふたりのイラストがカラーで印刷された美しい表紙が現れるという凝った造本になっている。さらには両面フルカラーのピンナップもついており、久保帯人の公式アカウントによると、「初版以降、帯の仕様は変更の可能性がございますので早めのゲットをおすすめします!」とのことなので、“紙の本へのこだわり”を感じたい人は、いますぐ入手しておいたほうがいいだろう。


(文=島田一志)