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【気になる一言】Q2で作戦変更を強いられたメルセデス。ハミルトンは「ミディアムでスタートしたかった」

2020年10月11日 18:11  AUTOSPORT web

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2020年F1第11戦アイフェルGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2020年F1第11戦アイフェルGPの予選で、今シーズンの3度目のポールポジションを獲得したバルテリ・ボッタス(メルセデス)とは対照的に、予選後に開かれたトップ3ドライバーによるFIA会見では、ルイス・ハミルトン(メルセデス)は元気がなかった。

 もちろん、予選でチームメイトに負ければ楽しいはずはない。しかし、理由はそれ以外にもあるようだ。それは予選Q2で選択したタイヤだ。

 Q3へ進出した予選トップ10のドライバーにとって、Q2で履くタイヤはレースでのスタートタイヤとなるだけに、その選択が重要となる。メルセデスのふたりが選択したタイヤはミディアムだった。これで1分26秒183をマークしたハミルトンに対して、ボッタスはミスを犯して1分26秒954にとどまった。するとメルセデスは、ふたりのタイヤをソフトに変えて2回目のアタックに出した。

 ハミルトンはこう振り返る。

「なにか違うことをやりたかった。それでミディアムにしたんだ。でも、チームがおなじタイヤにしたいということでソフトに変えた。僕はミディアムでスタートしたかったし、あのタイヤでQ2は突破できたと思う。それが正しい判断だったかどうかは明日まで待とう」

 それを受けて、ボッタスは次のようにコメントした。

「確かに僕たちはQ2でミディアムを履くことを計画していた。それでフリー走行3回目でトライしたんだけど、路面があまりにグリーン(ラバーグリップが乗っていない状態)で、タイヤの挙動を正しく読み取るのが難しかった」

「そして路面が少し改善されたセッションの後半にもう一度試してみたけど、そのときの走りはかなりひどかった。1周のアウトラップでは十分にタイヤを温めることができなかったんだ。だから僕はソフトのほうが良かった」

 FIA会見の後にメルセデスが開いた個別の会見で、チーム代表のトト・ウォルフは状況をこう説明する。

「予選後にも確認したが、ソフトが正しい選択だったとルイス(ハミルトン)も同意している。なぜなら、Q2をミディアムで突破したドライバーはひとりもいなかったじゃないか」

 しかし、Q2の1回目にミディアムで出した1分26秒183というタイムは、最終的に5番手のタイムを上回っており、ソフトを履いて2回目のアタックに出て自己ベストを更新しなくても、楽にQ3に進出できていた。しかしウォルフは、ソフトにした理由はそれではないという。

「温まりの悪いミディアムでスタートすれば、最初の数周はソフトを履いたライバルに苦戦する。そんなギャンブルは犯せない」

 それは予選が始まる前からわかっていること。それでもメルセデスはQ2の途中で作戦を急きょ変更した。ウォルフが言う“ライバル”とは、3番手を獲得したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンのことだろう。彼らがQ2で最初からソフトを履いていたのを見て、メルセデスは作戦変更を判断したと思われる。

 これに対してフェルスタッペンは、「Q2は最初からソフトでいく予定だった」と平然と語った。

 つまり、レッドブル・ホンダは予定していたとおりの戦略でスタートするのに対して、メルセデスはレッドブル・ホンダを見て急きょ戦略を変更したことになる。果たして、どちらが日曜日のレースを制するのか。