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「理解してください」聴覚障害の患者に付き添う「手話通訳者」、コロナ不安でも「手当ゼロ」…支援求める

2020年10月09日 18:01  弁護士ドットコム

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新型コロナウイルスによるイベントの減少などで減収した横浜市の手話通訳者らが、労働条件の改善や減収分の補てんを求めている。加盟する「よこはまシティユニオン」とともに10月9日、東京・霞が関の厚労省で会見した。


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コロナ禍で、聴覚障害者のために病院で活動しているものの、医療従事者らに給付される慰労金が払われないことにも「納得できない」と嘆息した。



●昨年とくらべて減収は6分の1にも

横浜市では、通訳を必要とする聴覚障害者は、情報提供施設の「横浜ラポール」に依頼する。ラポールが手話通訳者のコーディネートをして、病院や学校、会議、講演会などに派遣する仕組みだ。



ラポールは、横浜市の指定管理者「社会福祉法人リハビリテーション事業団」が運営する。リハ事業団では、非常勤従業員として24人の手話通訳者が勤めており、約150人の手話通訳者が登録している。



しかし、コロナで外出自粛となり、会議や講演会が開催されなくなったことから、依頼件数が減って、手話通訳者らの収入が減少した。



たとえば、ある登録手話通訳者の報酬は、2019年4月に5万6000円だったが、2020年4月には8800円に落ち込んだという。



ユニオンでは、9月8日に要求書をリハ事業団と横浜市に提出。非常勤と登録の手話通訳者のコロナによる減収分を調査し、補填することなどを求めた(昨年3~7月と同時期の比較)。また、10~11月中の団交の実施も求めている。



●聴覚障害者の生命・健康に直結する仕事なのに

会議などの仕事は減ったが、聴覚障害者の病院への付き添いは大切な仕事だ。緊急事態宣言の後、病院での活動の割合は増えている。当然、感染のリスクもある。依頼を受けることは強制ではないが、困っている障害者のため、「受ける」以外の選択肢はほぼないそうだ。



横浜市長の会見にも登場する伊藤明子さん(68才、非常勤)は「通訳も不安を抱えている。でも、病院に行かないわけにはいかない」と話す。



喜多村光江さん(72才、登録)は、病院に付き添ったところ、聴覚障害の患者に37.6度の熱があることがわかった。患者とともに別室への待機を指示され、従った。「どうしよう。家族もいるし、あとの仕事もどうしよう」と大きな不安にさいなまれたという。



その後、病院から連絡がなく、問題はないというが、このように、感染リスクにおびえつつも、それに見合った手当がない。喜多村さんは「慰労金対象外というのは納得できないなと思います」と話す。





●私たちに「強い使命感」がないとは言わせない

慰労金とは「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金事業」にもとづき、医療従事者や介護施設職員に支払われる。



慰労金が対象とするのは「医療機関での集団感染の発生状況から、相当程度心身に負担が かかる中、強い使命感を持って、業務に従事している」人たち。



日本聴覚障害者連盟は、医療機関で活動する手話通訳者も対象とするように厚労省に要請したが、実現していない。



「手話通訳者が存在しなければ、聴覚障害者は治療どころか診察も難しい。1円も出ないのはおかしい。厚労省には再考を願いたい」(ユニオンの川本浩之書記次長)



「強い使命感は手話通訳者も同じです」と話す伊藤さんは「私たちが置かれている苦しい状況を理解してください」と手話で語った。