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給付金の不正受給、自主返金したら「詐欺罪」には問われない?

2020年10月07日 19:11  弁護士ドットコム

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新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた個人事業主などを支援する「持続化給付金」をめぐり、不正受給が相次いでいることを受けて、経済産業省・中小企業庁がこのほど、自主的な返還を呼びかけた。


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中小企業庁が不正受給の疑惑について調査をはじめる前に、自主的に返還すれば、加算金などのペナルティは課さないという。これによって、刑法の「詐欺罪」に問われることもなくなるのだろうか。



●7月下旬、大学生が逮捕された事件があった

「持続化給付金を返還したい」。こんな申し出が殺到しているようだ。中小企業庁によると、実は当初から返還に関する相談はあったという。



「申請できていないと思って、二重で申請してしまったケースや、13万円とするところを130万円と入力するなど、桁を間違えてしまったケースなどがありました」(同担当者)



要するに、間違えて金額が多くなってしまったので返還したい、というものだった。



ところが7月下旬、給付金を不正受給した疑いで大学生が逮捕された事件をきっかけに流れが変わった。以降は「自分も不正受給してしまったかもしれない」という内容が増えていったという。



こうした返還の申し出が増えているため、受付はしているものの、返金手続きの一部が停止されている。申し出の件数は公表されていないが、担当者は「少ないなら混乱しない」と話す。



●「捜査がすすめられる可能性はある」

こうした状況の中で、経済産業省・中小企業庁は自主的な返還を呼びかけた。



そもそも、不正受給の疑惑があった場合、中小企業庁が調査したうえで、不正があったかどうかを判断する。



もし不正受給だと判断した場合、給付金と延滞金、さらにその合計の2割に相当する額(加算金)を加えて返還請求する。不正の内容が悪質だった場合には刑事告発する。



今回、中小企業庁は、まだ調査がはじまる前に、自主的に返還を申し出た場合、加算金などは課さないという方針だ。刑事上の責任もなくなるのだろうか。



「これまで持続化給付金の不正受給で逮捕されているのは『詐欺罪』です。不正の意図をもって受給された人は、形式的には詐欺罪が成立しています。返還のいかんを問わず、警察の捜査がすすめられる可能性はあります」(担当者)



自主的に返還した人を刑事告発するようなことはあるのか。



「『この人から自主的な返還があったので捜査してください』と能動的に働きかけることはありません。返還を希望される人にもいろいろな事情があります。(今回の措置も)"不正な意図があった"というのを前提にしているものではありません」(同)



●「持続化給付金の不正受給は犯罪です!!」

今回の措置に先立って、経済産業省は「持続化給付金の不正受給は犯罪です!!」と注意喚起している。不正受給として、次のような例が示されている。



・事業を実施していないのにもかかわらず申請する



・各月の売上を偽って申請する



・売上減少の理由が新型コロナウイルスの影響によらないのに申請する



持続化給付金を不正受給した人から相談を受けている上原幹男弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に「まず、自分がやったことが、不正受給かどうかを確認すべきです。役所に聞いても、弁護士の無料相談会で聞いてもいいです。その結果、不正受給だとわかったら、返還してください。警察に自首する場合は弁護士に相談してください」と話している。