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エクストリームE:アンドレッティがWorldRX王者を起用。女性ペアにはマニングスを大抜擢

2020年10月07日 12:11  AUTOSPORT web

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名門Andretti United Extreme E(アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームE)加入が発表されたケイティ・マニングス
2021年1月開幕を予定する、電動SUVによる独創的なオフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』シリーズに向け、北米の名門Andretti United Extreme E(アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームE)が男女2名のドライバーを発表。WorldRX世界ラリークロス選手権の2019年チャンピオンであるティミー・ハンセンがエースとしてチームを率い、そのペアにはERCヨーロッパ・ラリー選手権などを戦ってきたケイティ・マニングスが大抜擢された。

 すでに開催地やいくつかの参戦チームが発表されてきたこの新生エクストリームEシリーズは、EVパワートレインを搭載する電動オフロード車両を用いて「人間の干渉の影響を浮き彫りにし、環境の保護と地球の保護に役立つEVの市場浸透を促進する」ことをビジョンに掲げている。

 その放送形態もユニークな内容を標榜し、レースは従来のモータースポーツ中継のようなライブ感あるものから、ドキュメンタリー・タッチのコンテンツ構成を目指すとし、参戦チームは海の上に浮かぶ元貨客船を“フローティング・パドック”として使用し、世界5カ国を転戦する。

 スポーティング規定にも独自のスタイルが導入され、チームは“ジェンダーフリー”を目指して男女1名ずつのドライバーで構成。ドライバーとコドライバーとして2周のレースごとに、550PSを発生するワンメイクEVマシン『ODYSSEY 21(オデッセイ21)』を乗り換え、1ラップずつドライブするフォーマットが予定されている。

 すでに初年度シーズンのドライバー起用を発表している同じく北米のChip Ganassi Racing(チップ・ガナッシ・レーシング)や、電動カテゴリーの経験豊富なドイツのABT Sportsline(アプト・スポーツライン)に続いて3チーム目のドライバーアナウンスとなったアンドレッティは、地元のドライバー候補からではなく、ともにレッドブル・アスリートとしての支援を受ける2名のグラベル経験者を起用することを決めた。

 新進気鋭イギリス出身のラリードライバーである22歳のマニングスは、2016年にフランスのSaintéloc Junior TeamからERCに参戦し、前輪駆動モデルのプジョー208 R2をドライブして、わずか18歳でERCレディス・トロフィーを獲得した。

■「話を聞いたときは震えた」と名門アンドレッティ加入のマニングス

 翌年にはプジョーUKのブランドアンバサダーにも就任し、引き続きSaintélocのプジョーでERCを追うとともに、プジョー・ラリー・アカデミー生(PRA)としてジュニアU27選手権にも挑戦。2020年にはWRC世界ラリー選手権の第2戦スウェディッシュ・ラリーでJWRCクラスにエントリーし、世界戦昇格も果たした。

「アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームEに加入できることに興奮しているし、こんな象徴的なチームに参加できるなんて本当に凄いこと。それに世界王者と組む……なんてペアリング! 歴史と経験あるチームの一員になれたことを誇りに思っている」と、その驚きとともに喜びを語ったマニングス。

「話を聞いたときは震えた。でも男性ドライバーと同じ信頼性を担い、同じ役割で責任を問われることは素晴らしいこと。純粋にペースで判断されることにワクワクしているの」

「シリーズは本当に興味深いコンセプトで、尊敬すべきチームとこの問題について真摯な問題意識を持つドライバーたちを連れていくことは、地球に必要な変化と今後の遺産にとって本当に重要になると思う。今起こる必要があるのは変化で、そのためにステアリングを握ることにとても興奮している」

 一方、兄弟のケビンとともにラリークロスのフロントランナーとして活躍し、2019年は4勝を挙げてついにWorldRXの世界タイトルを得たティミーも「このシリーズ参戦は僕のキャリアの新しい章であり、フォーマットは過去のどのカテゴリーとも似ていない」と、参戦に向けた意気込みを語った。

「世界と環境についてより大きなメッセージを発信できる立場をうれしく思う。そしてなによりも、このモータースポーツ界を牽引してきたふたつのビッグネームと戦えることを光栄に感じている」

「ル・マン24時間でのユナイテッドの勝利(LMP2)を見られたのは素晴らしい出来事で、アンドレッティの偉業は説明の必要すらないだろう。チームに大きな敬意を払っているし、僕を選んでくれたその信頼に応えたいと思っているよ」