大企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、ドル箱「東海道新幹線」を擁するJR東海(東日本旅客鉄道)を取り上げます。
JR東海社員の平均年収は736万円
最新データ(2020年3月期)によると、JR東海社員の平均年間給与は736万2824円。4期前と比較すると7.8万円ほど上がっています。
この額には、賞与や基準外賃金(手当など)も含まれています。JR東海の賞与は例年2回、平均して計6ヶ月前後に当たる額が支給されているようです。
- 2016年3月期:728万4842円
- 2017年3月期:732万2555円
- 2018年3月期:733万4778円
- 2019年3月期:735万3153円
- 2020年3月期:736万2824円
JR東海の平均年間給与は、JR東日本の719万0527円、JR西日本の662万2158円、JR九州の558万1013円のいずれをも上回っています。なお、このデータはJR東海単体のもので、連結子会社などのグループ会社は含まれていません。
平均給与は上昇しているものの、2020年3月期決算は減収減益。営業利益率は35.6%と高水準ですが、前期の37.8%からはやや悪化しています。
また、新型コロナ禍の影響で、2021年3月期の第1四半期の売上高は前年同期比で72.7%減。営業利益は前年同期の2062億円の黒字から836億円の赤字に転落しています。
JR東海社員の平均年齢は36.7歳
次に従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
JR東海社員の平均年齢は36.9歳。40歳超えが多いメーカーと比べると若いです。ざっくり言うと、30代半ばで700万円台に到達する人が多いということになるでしょう。
- 2016年3月期:18,164人(37.1歳・17.1年)
- 2017年3月期:18,054人(37.0歳・17.0年)
- 2018年3月期:18,116人(37.0歳・17.0年)
- 2019年3月期:18,148人(36.9歳・16.8年)
- 2020年3月期:18,282人(36.7歳・16.5年)
このデータもJR東海単体のもので、グループ会社は含まれていません。ウェブサイトによると、例えばJR東海の在来線の駅業務などは、子会社の東海交通事業に委託しており、JR東海の従業員が直接携わっているわけではないようです。
グループ全体(連結)の従業員数は29,603人で、JR東海(単体)が占める割合は61.8%。富士通の25.2%、NECの17.9%などと比べるとかなり高いです。
JR東海の事業セグメントは、東海道新幹線や在来線などの「運輸業」、百貨店事業などの「流通業」、駅ビル等の「不動産業」、ホテル業や旅行業、広告業などの「その他事業」で構成されています。
2020年3月期は、営業収益の76.9%、営業利益の93.9%は運輸業があげており、運輸業の営業収益の93.9%は東海道新幹線が生み出しています。
ドル箱の新幹線、巨額投資のリニアはどうなる?
最後に、JR東海の今後の見通しについてまとめてみましょう。
新型コロナ禍が鉄道事業に与えた影響は大きく、2020年3月時の東海道新幹線の輸送状況は、前年比41%まで落ち込んでいます。それでも、JR東海の2021年3月期の業績予想は、売上高が前期比0.7%増、営業利益が4.8%減に収まるとのことです。
JR東海は、リニア中央新幹線の建設のために3兆円の融資を受けています。返済は40年ローンで、借り入れから30年間は元本返済は猶予され利息のみ、2046年からは毎年3000億円の元本返済をしなくてはなりません。
開業が遅れることで資金回収が十分でないまま2046年を迎えると、この返済に困ることになります。JR東海は2027年の開業を目指していますが、進捗は想定より遅れている状況です。
なお、JR東海では中途採用を行っておらず、転職ではグループ会社が狙い目です。ただしテレワーク環境が普及する中で、企業の出張など東海道新幹線の利用客数が今後減少する可能性は否定できません。
運輸事業の落ち込みをカバーするために、JR東海グループは百貨店事業や駅ビル等の不動産業、ホテル業や旅行業、広告業などの関連事業に力を入れていく可能性があります。そのような職場での経験は、将来のキャリアアップにつながるのではないでしょうか。
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