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三陽商会の不採算事業はラブレスとキャスト 大江社長「収益事業化の目処がつかなければ躊躇なく撤退」

2020年10月06日 22:02  Fashionsnap.com

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会見に登壇した大江伸治社長 Image by: FASHIONSNAP.COM
三陽商会が2021年2月期第2四半期の決算説明会を開催した。上期(2020年3月1日~8月31日)は売上高153億2800万円、営業損益は57億1200万円の赤字を計上し、前四半期から赤字幅が拡大した。大江伸治社長は不採算事業の「ラブレス(LOVELESS)」と「キャスト:(CAST:)」の2事業について「収益事業化の目処がつかなければ躊躇なく撤退する」とコメント。今期末までリストラクチャリングによるローコスト化を推進し、その結果を踏まえ来期に継続可否を判断するという。

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 ラブレスは2019年にブランド誕生から15周年を迎えたが、店頭販売実績においては2019年4月から前年割れの状態が続いている。今期は実店舗数を15店舗から8店舗に削減する方針で、代官山店のほか、複合商業施設向けの「ラブレス サニーサイドフロア(LOVELESS Sunny Side Floor)」新宿フラッグス店などが閉店した。販管費は20億円から11億円に半減させることで、営業損失を11億円から2億円に改善する計画だ。
 キャストは20代後半~30代前半の女性をターゲットに2019年7月に立ち上がったばかりで、デビュー時はオンライン上で公開する映画作品から商品が購入できる日本初のシネマコマース型のマーケティング手法を導入し、話題を集めたが振るわず、今期は実店舗の体制を29店舗から10店舗と3分の1に縮小し、販管費は7.5億円から3億円に削減。6億円の赤字を計上した営業損益はブレイクイーブン(損益均衡)を目指す。
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 同社は今期中に百貨店・直営店を含め計約160の不採算売場を撤退すると発表。8月末時点で130の売場から撤退が済んでいるという。大江社長は百貨店店舗について「年間売上が2000万円にも満たない小規模の売り場は採算が合うわけがない。そういった売り場が存在してるのは、売り上げを落としたくないか、百貨店との"しがらみ"によるものか」と話し、高効率化を推進していく考え。また、ショールーミング化などの新たな販売手法を模索していくという。販売員の雇用については今期だけでおよそ500人削減する予定で、大半が契約社員のため契約を更新しないなどの対応をとっている。正社員を対象にした希望退職は現状検討していない。
 大江社長は現在推進している再生プランについて「上期はシナリオ通り実行できた」とし、下期も実店舗の売上高減少をECおよびアウトレット店舗でカバーし確保しつつ、粗利率改善と販管費削減に努める。
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