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テレビアニメ化も決定! ピュアな犬くん&ツンデレな猫様と暮らす『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』

2020年10月02日 12:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 犬と猫は、どちらも人間にとって身近な動物であるからこそ、比べられやすい。だが、両者が持っている魅力は比較するものではなく、あるがまま受け入れ、愛でるものなのではないだろうか。『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』(松本ひで吉/講談社)は、そんなことを考えたくなる微笑ましいコミックエッセイだ。


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 本作は犬と猫の両方と暮らしている作者が、異種・多頭飼いならではの笑いや涙を詰め込んだもの。Twitterにて話題となり、2018年に第1巻が発刊。2020年10月2日よりテレビアニメ化される。


■犬も猫もそれぞれ「等しくかわいい」


 松本氏の家で暮らしている犬くんと猫さまは、真逆の性格。例えば、犬くんは嫌なことがあっても歌って踊ればすぐに忘れる楽天家。言われたことをしっかりと守ろうとし、飼い主が悲しみに暮れている時はボールを持ってきて楽しませようともする。


 よく、犬は人間の友達だと言われるが、犬くんはまさにその通り。全身で嬉しさやピュアな愛情を表現する、親友のような存在だ。


 一方、猫様はTHEツンデレ。パソコンの上のような禁じられた場所ほど乗りたがり、構ってほしい時は犬くんのように全身でアピールをするのではなく、インクをこぼすなど、“構わざるを得ない状況”に持っていく知能犯。つい敬ってしまいたくなるような貫禄を身に着けているため、飼い主は「ご主人」ではなく、「しもべ」となってしまう。


 だが、飼い主が悲しんでいる時は気にしていないように振る舞いつつ、陰からこっそりと見守る優しさも持ち合わせているのが猫さまのかわいいところ。犬くんとはまた違った距離感で、心に寄り添ってくれるのだ。


 犬派or猫派論争は、どれだけ時が経っても話題となる不滅のテーマ。筆者も実はずっと、自分は猫派だと思っていた。だが、行きつけの美容院に突然現れた看板犬と触れ合い始めて、考えが一変。白黒はっきりつけなくてもいいことが、この世にはあるのかもしれないと気づいた。


 目の前のことに全力投球で感情を爆発させる看板犬の姿は日々、達観した愛猫たちを目にしている筆者にとっては、とても新鮮でかわいいものだった。けれど、帰宅した後に愛猫たちからツンデレ攻撃を受けると、その雑な扱いにホっとする自分もいる。どちらがかわいいかなんて選べないなと、心の底から思った。


 松本氏のように、犬と猫の両方と暮らしている人は双方の魅力を知れるが、そうではない人は自分が暮らしたことがない動物に対して、愛情深いまなざしを向けることがなかなか難しいと思う。だから、そんな人にこそ、本作を手に取ってほしい。


 私たち人間は違う種族に優劣を下せるほどできた存在なんかじゃないし、大切なことはそこではないような気がする。「どちらがかわいく賢いか」よりも、双方の個性をどう受け止め、仲良く共生していくかのほうに目をもっと向けるべきなのではないだろうか。そのほうが自分自身もきっと楽しいし、動物もハッピーな気持ちになれるはず。飼い主も動物も傷つくだけのかわいい戦争には「どちらも等しくかわいい」の答えでピリオドを打ちたい。


 犬派や猫派にこだわらない人が増えること。それも動物に優しい社会をつくるためには、大切だ。そのためにも松本氏のドタバタな日常で泣き笑いし、それぞれの魅力を知ってみてほしい。


(文=古川諭香)