グッドイヤーの耐久プログラムマネージャーであるマイク・マクレガーによれば、同社は2021年のWEC世界耐久選手権とELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズにおけるLMP2クラスへのタイヤワンメイク供給に備えるため、「非常に集中的なプログラム」に取り組んでいるという。
2019年末、グッドイヤーは2021シーズンからWECとELMSのすべてのLMP2エントラントにタイヤを独占供給する契約を、ACOフランス西部自動車クラブと結んでいる。
これはまた、ル・マン24時間レースにおいて多くの参戦台数をもつLMP2クラスでもすべてのマシンにタイヤを供給することを意味する。一方、新たな最高峰カテゴリーであるハイパーカークラスには、ミシュランがタイヤを独占供給する。
現在グッドイヤーはWECの2019/20シーズンと、ELMSの2020シーズンのすべての経験を活かしながら、来年大幅に拡大されることになるプログラムの準備を進めている、とマクレガーは説明する。
「ル・マンを含むこれらの各レースイベントに参戦することで、コンパウンドについて我々がどう開発をしていくべきかについてを経験し、理解することができる」とマクレガー。
「(2020年の)ポルティマオでのELMS最終戦(11月1日)の直後、そこでテストを開始する。ELMSにおけるGTE用のタイヤと、新たなLMP2向けのプロダクトだ」
「そのあと、アラゴンでも数日のテストを行なう。すべてのレンジのタイヤを持ち込むことになり、WEC向けの開発もする予定だ」
「来年はインターミディエイト、ウエット、3種のスリックタイヤが、すべて完全に新しいパッケージに生まれ変わる。それを確実に達成できるよう、極めて集中的なプログラムを予定している」
グッドイヤーは2021年の1月に最初のタイヤをチームに納入することを目指している。これにより、3月に予定されているWECのシーズン開幕に先立ってチームがテストをするための充分な時間を確保するつもりだ。
今回の独占供給契約により、タイヤを装着する台数が劇的に増加するため、グッドイヤーはリソースを増やす必要に迫られている。
現在、WECの2019/20シーズンでは、2台のLMP2マシンがグッドイヤータイヤでフル参戦をしている。ハイクラス・レーシングのオレカ07は当初グッドイヤーを使っていたが、第5戦からミシュランにスイッチしている。
グッドイヤーはまた、現在ELMSに参戦する15台のLMP2マシンのうち4台にタイヤを供給しているが、こちらも2021年の開幕からは全車へと拡大される。
「契約締結後すぐに、我々はチームを強化するためにスタッフのトレーニングを開始した。今後、さらに拡張されていくことになるだろう」とマクレガー。
「今年(2020年)のはじめに、タイヤのストック、ロジスティクスのサポートをするため、3台の新たなトレーラーが我々の編成に加わった。また、最大18人のトラックサポートエンジニアを収容することができる、新たなオフィス・トレーラーも導入している」
「最高レベルのサポートを確実に実行できるよう、すべての設備を整備しているところだ」
マクレガーは、グッドイヤーの耐久レースへの復帰は「素晴らしい成長曲線」を描いており、現在タイヤを供給するLMP2チームのパフォーマンスに満足していると付け加える。
JOTAチームは現在WECのLMP2ランキングで2位に立っており、ここまで7戦で4つのポディウムを獲得。先日のル・マン24時間ではクラス2位に入っている。またELMSではパニス・レーシングが残り2レースを残しランキング5位につけている。
「これは我々の最初のシーズンだ。我々はまったく新しいプロダクトを導入している」とマクレガーは述べる。
「我々のレースへの理解の成長曲線は素晴らしいものだと思っている。タイヤコンペティションのあるシリーズは少ないが、その中でもいいパフォーマンスを見せられているのはとても良いことだ」
「昨年、WEC上海戦での初めての勝利は、我々にとって非常に良いものだったし、成長を助けてくれるものだった」
「世界が進化するにつれ、我々も進化しなければならない。より速く走れ、より長く性能を持続させられるタイヤを生み出せるようにする必要がある。それが2021シーズンに向け、我々が目指しているところだ」