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近鉄「ひのとり」新型車両がグッドデザイン賞「ベスト100」に選出

2020年10月01日 17:52  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
日本デザイン振興会は1日、グッドデザイン賞の2020年度受賞結果を発表。鉄道車両では、近畿日本鉄道80000系「ひのとり」が「グッドデザイン・ベスト100」に選出され、東京メトロ17000系、つくばエクスプレスTX-3000系もグッドデザイン賞に選ばれた。

2020年度グッドデザイン賞は、デザインにおいて他者や社会、環境などについて考え、それに応えることを示す「交感」をテーマに、4月2日から6月2日まで応募受付を実施。4,769件の審査対象の中から、国内外のデザイナーや建築家、専門家など、各分野の一線で活躍されている94名の審査委員による厳正な1次・2次審査を経て、1,395件の「グッドデザイン賞」受賞が決定した。

これら受賞対象の中から、独自性・提案性・審美性・完成度などの面でとくに優れた対象であり、これからのモデルとなるデザインとして位置づけられる「グッドデザイン・ベスト100」の100件も選出。この中から、今後さらに審査を実施し、「グッドデザイン大賞」などの特別賞が10月30日に決定する。

「グッドデザイン・ベスト100」に選出された近鉄の新型車両80000系「ひのとり」は、「くつろぎのアップグレード」をコンセプトに日本で初めて全席にバックシェルを採用し、座席間隔を日本最大級とするなど、快適性を追求した特急車両。大型荷物も収容可能なロッカーや荷物置きスペース、4カ国語の車内情報表示、無料インターネットサービスなど、大阪・名古屋間の交流人口拡大へのさらなる強化を図っている。

グッドデザイン賞審査委員からは、「近鉄特急は、都市間特急の新しいスタンダードを再定義したと言えよう。都市間特急において乗客の多くは『寝る』。リクライニング座席を倒すと、その後ろの乗客が不快に思うことが多かった。逆に気を使って、十分にリクライニングを倒すことができない乗客も多かった。そんなきめ細かいニーズ分析から生まれたバックシェル座席が、全座席に展開されている。そのぶん定員が減ったが、これは経営側も相当に覚悟しただろう。近鉄は車両を30年以上、末永く大事に使い続ける会社だ。長く飽きられない普遍的なデザインと空間、経営が一体になって、未来に向かって覚悟を決めたフラッグシップを高く評価したい」と評価された。

東京メトロ有楽町線・副都心線の新型車両17000系は、「沿線のお客様に末永く親しまれる快適な車両」をめざし、幅広い利用者の乗車目的に寄り添えるようなデザインや、安全・安定かつ快適な輸送サービスや環境負荷低減を実現する信頼性の高い技術、多様な利用者の多彩なニーズに対応したバリアフリー施策を充実した車両で、2021年2月の営業運転開始を予定している。

受賞理由としては、乗降性の向上と全車両へのフリースペースの設置など多様なバリアフリー施策に取り組んだ点、車両内の色彩や高音質スピーカー・セキュリティカメラの設置など車内の空間性、快適性や安心感の向上に取り組んだ点、車両情報監視・分析システム(TIMAシステム)を導入し、走行車両の機器状態を遠隔でモニタリングすることをはじめ、安全・安定性の向上に取り組んだ点など、利用者に寄り添い、細かい工夫を積み重ね繊細で完成度が高く、都市交通の成熟を思わせるデザインとして評価された。

つくばエクスプレスの新型車両TX-3000系は、アルミ製車体で空気バネ式ボルスタレス台車を採用し、設計最高速度は130km/h。デザインコンセプトに「継承 - デビューを飾ったTX-1000系、TX-2000系のシリーズ性を感じさせる」「進化 - 技術の進化に合わせた最新技術を採用する」「洗練 - 良い印象を残し、次世代につなげる」を掲げ、現行車両で培った技術をさらに発展させた最新技術も採用しつつ、斬新なデザインの車両となっている。(木下健児)