アドビは9月、「COVID-19禍における生産性と在宅勤務」に関する調査結果を発表した。調査は6月にネット上で実施し、米国と日本の労働者それぞれ約1000人から回答を得た。
米国では約8割が、テレワーク移行後も「生産性が上がった」「変わらない」(計77%)と回答したの対し、日本では「生産性が下がった」(43%)と答えた人が「上がった」(21%)とした人を2倍近く上回った。生産性が下がる理由を聞くと、上位には「勤務環境が整っていない」(68%)、「集中しづらい」(46%)、「同僚からの協力が得られにくい」(33%)などが挙がった。
「オンライン会議疲れ」も日本の労働者の方が感じている模様
テレワーク中の同僚とのコミュニケーションは、6割が「以前と変わらない」(63%)と答えた米国とは対照的に、日本では過半数が「取りにくい」(55%)と回答。テレワークで失ったものを聞くと、トップ3は「チームメンバーとの対面でのやり取り」(30%)、「気軽に声がけできる環境」(16%)、「上司との直接のやり取り」(12%)だった。
また、テレワークの拡大に伴って多用されるようになったオンライン会議については、日本では6割が「対面での会議と比較して生産性が低いと感じる」(60%)と回答。さらに、4割は「オンライン会議疲れを感じている」(39%)と答えた。
一方、米国では反対に、67%がオンライン会議の生産性を評価。「オンライン会議疲れを感じている」(34%)とした人も5ポイント少なかった。同社は
「グローバル規模での在宅勤務拡大に伴い、コミュニケーションを補うためにビデオ会議の利用が増えたものの、効果的かつ効率的な利用についてはいまだ模索している」
と読み解いている。
メッセージアプリ、6割が「始業前や休憩時間も確認」
続いて、ファイル共有やレビューに使用しているツールを聞いたところ、最多は「Microsoft Office」(51%)で、次いで「Adobe Acrobat」(43%)、「Google Drive」(31%)が挙がった。
また、回答者の87%はメール添付でファイルを共有しており、うち7割が「生産性が高いと感じる」(70%)と答えている。一方、回答者全体の過半数は「ファイルのバージョン管理に課題を感じている」(55%)とも答えており、各種ツールやメールによるファイル共有が乱立することにより、取引先やチームとの仕事を難しくさせていた。
メールを確認するタイミングについては「始業時間までに仕事のメールを確認する」(37%)とした回答者が4割にとどまった一方、SlackやTeams chatといった仕事関連のメッセージアプリは56%が始業前や休憩時間でも確認していた。業務時間外の気軽なやりとりや、緊急の連絡手段などの用途を使い分けて活用している様子がうかがえる。
同社は、今回の調査結果を受けて「この傾向は、COVID-19収束後も継続すると予想される」と前置きした上で、
「ビデオ会議やメッセージアプリなど、双方向性を持った新しいコミュニケーション手法を駆使して、時間や場所に関わらずに生産性を維持できるニューノーマルな働き方への転換を推し進めていくと考えられます」
と考察している。