2020年F1第10戦ロシアGPレース後の上位3人のドライバーによる記者会見で、最も多くの質問を受けたのは、優勝したバルテリ・ボッタス(メルセデス)でもなく、2位となったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)でもなく、ポールポジションからスタートして3位に終わったルイス・ハミルトン(メルセデス)だ。
その理由は、もちろん、ペナルティを受けることになった本番前のスタート練習についてだ。
ハミルトンの主張はこうだ。
「僕は今回だけでなく、いつも同じようにやってきたつもりだ。でも、今まで何も言われなかった。確かに『信号の右で』と書かれていることは知っている。でも、そこには『信号からどれくらい離れた右側』とは書かれていない。僕はみんなが行っているスタート位置で練習するのが嫌だったんだ。だって、そこにはすでに多くのラバーが乗っていて、グリッドとかなり異なる状況となっているからね。だから、あそこ(ピットロードの出口)まで進んで、練習した。そこにはラバーが乗っていないから」
そのことをハミルトンはチームに確認したのだろうか。
「確認したよ。チームも問題ないという判断だった。だって、ブラジルと大差ないじゃないか。ここはブラジルよりも、左側にもっとたくさんのスペースがある。ブラジルと比較しても、今日僕が練習した場所の方が安全だよ」(※編注:ブラジルGPが行われるインテルラゴスのスタート練習位置は、長いピットロードの先の本コース合流手前にあり、今回ハミルトンがロシアGPで行った位置に似ている)
このペナルティによって、ハミルトンは5秒×2回の10秒のペナルティが科せられ、3位に終わった。さらにそれぞれ1点ずつのペナルティポイントも科せられ、合計10点となった。その後ペナルティポイントは撤回されたが、記者会見が行われた時点では撤回はされていなかったため、残り4レースで2点以上加算され、12点となった時点で次のレースに出場できないという状況にいた。
「今年与えられたペナルティポイントはバカげているよ。ペナルティポイントというのは通常、誰かにぶつかったりして、ほかのドライバーを危険にさらすようなときに与えられるべきた。今回僕は誰にも危害を加えなかった。でも、もう終わったこと。前進するしかないし、これ以上、言い訳したくない」