2020年09月27日 09:51 弁護士ドットコム
コロナ禍をきっかけに日本でもテレワーク、在宅勤務が定着しようとしている。通勤や職場で見られることがない以上、リラックスした装いで仕事をしている人も多いはずだ。しかし中には、気が緩みすぎている人もいる。
【関連記事:「チリンチリンじゃねぇよ」歩道でベルを鳴らす自転車に怒りの声、違法じゃないの?】
都内の主婦・J子さんの場合、夫のリラックスしすぎた服装が気がかりだという。というのも、夫はオンライン会議で映る上半身は仕事着ながら、下半身はズボンを身に付けていないからだ。
都内のメディア関連企業に勤務する夫は、多いときは日に数件、社内外とのオンラインミーティングに参加する。3月に在宅勤務に入った当初は、出勤するときと同じ装いだったが、暑くなってくると「どうせ映るのは上だけだから」と、下着姿で過ごすようになった。
あるとき、J子さんが料理中に宅配便が届いたが、下着姿の夫を思い出し、仕方なく自分で応対したという。そこで、「もし下着姿で宅配便を受け取ったら、犯罪など法的な問題には発展するのでしょうか」と気になったそうだ。
J子さんの自宅には、男性だけでなく、女性の担当者も宅配便を運んでくる。下着姿での受け取りは、法的な問題になりうるのか。寺林智栄弁護士に聞いた。
「たとえ自宅内でも、不特定多数の目に触れうる場合、軽犯罪法の『公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり(尻)、ももその他身体の一部をみだりに露出した者』(軽犯罪法1条20号)に該当して、拘留または科料といった処罰の対象になりうる可能性は否定できません。
また、犯罪が成立しないとしても、そのような格好で荷物の受け取りに出た結果、たとえば女性配達員が気分を害し、精神的な苦痛を被った場合には、損害賠償の問題が生じることもないとは言えません。
法的にはかなり微妙な問題ではありますが、何らかのトラブルが生じる可能性はあります。 いくら在宅勤務でも、いつ玄関先に出なければならなくなるかはわかりません。それなりに節度のある服装で過ごすことがトラブルを回避するためには必要ではないかと考えます」
【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。東京弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)を経て、2014年10月開業。2018年11月から弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)。刑事事件、離婚事件、不当請求事件などを得意としています。
事務所名:北千住パブリック法律事務所
事務所URL:http://www.kp-law.jp/