2020年09月25日 16:11 弁護士ドットコム
新型コロナウイルスの影響によって、仕事のなくなったアルバイトらが、会社に対して休業手当の支払い、または休業支援金を受け取るための対応を求めた。
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アルバイトと、首都圏青年ユニオン飲食業分会(飲食店ユニオン)は9月25日、会見を開き、休業支援金の申請が困難な現状を訴えた。
結婚パーティー会場などを運営する会社(東京都港区)で働く5人のアルバイトら(いずれも都内の大学に通う4年生)は、2020年3月から現在まで、シフトが0になっている。
以前は、5人は平均して月に約7~8万円を稼いでいたという。休業手当の支払いを求めたが、断られたため、8月末にユニオンに加盟した。
9月14日の団交によって、休業手当の支払い、または7月から始まった「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の申請への協力を求めた。
結果、3月の休業手当の支払いは認められた。確定したシフトがカットされたからだ。しかし、4月以降については、コロナの影響や、シフトが出ていないことを理由に「事業主が命じた休業ではない」として支払われなかった。
そこで、7月から始まった休業支援金(4月~6月分)の制度への協力を求めたものの、拒否されてしまった。
休業支援金は、雇用調整助成金の利用が十分進んでいないために設けられた。休業手当を受け取れない労働者が直接申請できる制度だが、実際には企業が利用を阻んでいる側面があるようだ。
今回のケースで、会社は休業支援金の申請書類の「事業主が命じた休業である」という項目に「いいえ」とチェックしたという。
ユニオンの栗原耕平事務局次長によれば、労働局は、事業主が休業であると認めない場合、支給を認めないという。
団交において、会社側は「休業という認識はなく、書くのが気持ち悪い」と繰り返していたそうだ。
会見に出席した男子学生らは2018年5月からアルバイトを開始し、休業前の1年間は平均して月に10日間稼働していたというが、そのような継続した労働実績があるにもかかわらず、会社側は4~6月は「雇用していない」と回答しているという。
栗原氏は「4月前に契約を解除されたり、雇い止めを受けたことはない」とし、「休業を認めないどころか、雇用も認めない。これは非常に悪質な休業支援金の受給妨害だ」と強調する。
アルバイトの佐藤さん(仮名)は「休業指示があったかどうかでもらえるかどうかが決まってしまう制度運用に疑問があります」と話す。
もう1人のアルバイト、鈴木さん(仮名)も「私たちはパーティー事業の運営の要であり、貢献してきました。しかし、要望に誠実な対応をしてくれず、捨てられてしまったと感じました」と眉をひそめる。
ユニオンでは、会社に対して、引き続き、制度利用を求める。また、実態が休業であるならば、労働局独自で支給決定を可能とするように、労働局に要請していく。
また、4~6月の休業支援金の申請締め切り(9月30日)の延長も同時に求める。
同様の休業支援金の相談は、ユニオンには他にも約30件届いているという。
休業支援金の累計支給決定件数は、9月23日時点で17万650件(累計支給申請件数は32万879件。厚労省発表速報値)。