ACOフランス西部自動車クラブと、FCVベンチャーのグリーンGTによる共同プロジェクトである“ミッションH24”は、第88回ル・マン24時間レース開催ウイークの金曜日に、水素燃料電池車の新型プロトタイプカー『グリーンGT H24』を初公開した。あわせて時計ブランドのリシャール・ミル、自動車機器メーカーのプラスチック・オムニウムというふたつの新パートナーを発表している。
2024年に水素を燃料とするFCV燃料電池車をレースに参加させる意向を示している、ACO肝入りのプロジェクトであるミッションH24。
同プロジェクトではこれまでに開発車の『グリーンGT LMPH2G』を用いて、プライベートテストやル・マン24時間決勝前のデモラン、ミシュラン・ル・マン・カップの公式セッションに参加するなど、さまざまな場所で走行実績を積み重ねてきた。
今回、ル・マンでお披露目された新型プロトタイプカー『グリーンGT H24』はそんな先代モデルの足跡をたどるクルマとなっているが、その中身はほとんどの特徴を共有していない、まったく新しい水素燃料電池車になっているという。
アデス・カンパニーが開発したLMP3カーベースの外観は、先代LMPH2Gのものとは大きく異なる。新しいボディワークでは空力性能の向上と、パワートレインの冷却性能向上が図られた。
駆動力を生み出すパワートレインも刷新され、そのコアには公式パートナーであるシンビオ社のバイ-ポラートプレートを備えた燃料電池を採用。また、F1でも使用されているSaftセルを用いた新しいバッテリーを搭載することで、より多くのエネルギーを蓄え供給することができるようになっている。
電動モーターは従来の4つからふたつに減らされた。これにより大幅な軽量化を実現している。さらにギヤボックスも小型・軽量化され、クルマ全体ではLMPH2Gよりも150kg軽い1270kgとなり、FIA-GT3カーの車両重量に近づいている。
新型車H24が発表されたル・マンでの記者会見では、ミッションH24の新しいパートナーも明らかにされた。トタル、ミシュラン・シンビオに加えてプロジェクトをサポートするのは、モータースポーツに積極的に関わるスイスの時計ブランド『リシャール・ミル』、そして世界最大の自動車機器メーカーのひとつである『プラスチック・オムニウム』の2社だ。
フランスを代表する大企業が続々と続々と参加するミッションH24では、パートナーのおかげで700気圧のレーシング用水素タンクを開発することができたとしている。
グリーンGT H24は今後、ベンチテストでの初期フェーズを終えたのち、11月には2021年シーズンに向け、いくつかのサーキットでプライベートテストをスタートさせ主要プログラムを進めていく予定だ。