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二次会から抜け出した部下に「お前は帰れて良いね」 上司が送ったメールはパワハラ?

2020年09月24日 10:51  弁護士ドットコム

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職場の飲み会が盛り上がっている途中に帰るのは、少し気まずいものですが、それだけで上司に怒られてしまったという人もいるようです。


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弁護士ドットコムには、二次会中にこそっと先に帰宅したところ、上司から嫌味を言われたという相談が寄せられていました。



相談者は、職場の飲み会で二次会まで行き、終電の時間が迫っていたため帰りました。過去に「帰ります」と一言かけたところ、上司から怒られたため、今回は何も言わずに抜けました。すると、家に着いた頃上司から「お前は帰れて良いね」というメールが届いていたのです。



終電を逃してタクシーに乗るとなると、相談者の家は遠いため、自腹で高額の支払いをすることになります。相談者は「お酒が入っているので、部下の財布の事など気にしてないのだと思います」と嘆いています。



果たして、飲み会から帰ろうとする部下を怒る上司は、パワハラにならないのでしょうか。齋藤裕弁護士に聞きました。



●不適切な言動であることは間違いないが…

ーー飲み会の抜け出しについて、部下に注意する行為はパワハラになりますか。



パワーハラスメントとは、優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、就業環境を害することを言います。そして、厚生労働省の指針では、業務上明らかに不要なことの強制がパワーハラスメントに該当しうるとしています。



飲み会で二次会まで行くことは業務上明らかに不要なことに当たると思われます。しかし、「お前は帰れて良いね」という皮肉程度では強制には該当しないと思われます。ですから、今回の事例についてはパワーハラスメントに該当しない可能性が高いと考えます。



しかし、部下の労働時間を適正に管理すべき上司として不適切な言動であることは間違いないでしょう。



ーー飲み会が業務と関係があれば、終電を逃したことによるタクシー代は会社から支払われる可能性もあるのでしょうか。



飲み会が職場の飲み会でしかなく、参加しない場合に人事考課上の不利益が課される、不参加について理由の説明を求められるなどの事情がないものについては、参加は業務とは言いにくいでしょう。



しかし、上司から参加を命じられた接待の飲み会については業務として位置付けられる可能性があります。その場合は就業規則等に基づきタクシー代が払われる可能性があります。




【取材協力弁護士】
齋藤 裕(さいとう・ゆたか)弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。サラ金・クレジット、個人情報保護・情報公開に強く、武富士役員損害賠償訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:さいとうゆたか法律事務所
事務所URL:http://www.saitoyutaka.com/