2020年09月24日 10:21 弁護士ドットコム
「義母からの連絡がうざい」「もう何もいらないから、連絡しないでほしい」など、義母からの連絡にストレスを感じている女性たちがいる。
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ネット掲示板「ガールズちゃんねる」にも「義母からの連絡を拒否する方法(ネタ可)」というスレッドがある。
投稿者は義母のことは嫌いではないものの、電話がかかってくると「うざいなー」と思ってしまうという。そこで、連絡を取らずに済む方法を教えてほしいと呼びかけている。
コメント欄には、義母からの連絡を拒否するための方法が並ぶ。
たとえば、「ただいま電話には応対出来ません…と機械的に答えてガチャ切りする」「待ち受け音を般若心経にする」「もしもし、もしもーしとひたすら言い続けて切る」「バッグからおもむろに『今これ使ってます』と糸電話を出す」などだ。
ほかにも、着信拒否や電話番号の変更、携帯を捨てる、電波の届かない山奥に住むなどのアドバイスもある。実際に義母からの連絡を拒否するために、「義母からの電話はすべて夫に転送している」という投稿もあった。
投稿者と同じように義母からの連絡に悩む人からは「義母って出るまでしつこく鳴らさない?出れない時もあるって」「息子は仕事してるんだから私(息子の妻)が連絡とるのが筋だといわれた」などのコメントもみられる。
中には「電話に出ないと義母が家まで来てしまう」と切実に悩んでいる人もいるようだ。
義母から何度もかかってくる電話をやめさせることはできるのだろうか。森本明宏弁護士によると、考えられる法的な手段としては「架電禁止の仮処分」という手続があるという。
「簡単に言いますと、裁判所に申立てをして、『電話をしてはならない』という命令を出してもらう手続です。民事保全法23条2項に定められた『仮の地位を定める仮処分命令』の一類型に該当します。
しかし、この命令を裁判所が発出する要件は、申立人に『生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするとき』とされており、申立てをすればすぐに簡単に発令されるというわけではありません」
では、どんな場合であれば発令されるのだろうか。
「電話をかけてくるという相手の行為が、平穏に生活する権利を侵害していると評価できるような場合であることが必要でしょう。
たとえば、一定期間継続して夜中に何度も繰り返し必要がないにもかかわらず電話をかけてくる、頻繁な電話についてお断りをしているにもかかわらず何度も繰り返しかけてくる、電話で述べる内容がこちらに義務のない行為を強いたり脅迫めいたものである、などの事情がある場合です。
また、この手続は、裁判所が証拠に基づいて判断をする手続となっています。そのため、日頃から着信履歴を残しておく、録音をしている場合には録音データを残しておくといった証拠の保全が必要となります」
中には、義母が電話をかけてくるだけではなく、合鍵を使って無断で家に入ってくるケースもあるようだ。このような義母の行為はどのように判断されるのだろうか。
「あらかじめ渡していた合鍵を使って、義母が家に入ってきた場合は、犯罪にあたる行為とまではいえないでしょう。
しかし、たとえば、合鍵を勝手に作って無断で入ってくるような場合であれば、義母の行為は不当に住居の平穏を侵害する行為であるとして、住居侵入罪(刑法130条)に問われる可能性があります」
【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010~2011年度、愛媛弁護士会副会長。2020年度、愛媛弁護士会会長。日本スポーツ法学会会員。
事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/