メルセデスF1チームのテクニカルディレクターを務めるジェームズ・アリソンは、F1に刺激を与える新たなアイデアを持っているが、それは少なくとも自身のチーム内で支持されることはないと考えている。
F1の上層部はコース上でのショーを盛り上げることを重要視しており、2022年には技術レギュレーションの大幅変更を行う。また最近ではリバースグリッドによるスプリントレース案を提示、物議を醸している。
通常は分析的かつ合理的なアリソンにも、レースを活性化させるための刺激的なアイデアがある。
メルセデスがYouTubeチャンネルで配信した『Ask Me Anything』のなかでアリソンは、もしひとつだけ技術もしくは競技ルールを変えるチャンスがあるとしたら、何を変えるかと質問された。
「まず、技術レギュレーションをいじることはしない。それは少々ばかげたことだ」とアリソンは答えた。
「技術レギュレーションは、マシンをより安全にしたり、速くしたり遅くしたいときに役に立つものだ」
「技術的な変更は非常に難しい。マシン同士がバトルをするやり方に実質的に影響を及ぼすのだ」
そしてアリソンは、あるひとつの案について語り出した。それは、周回遅れになるマシンに対して道を譲るよう指示する青旗を廃止するというアイデアだった。青旗を表示されたドライバーは、できるだけ早い機会に後続のマシンを先行させなければならない。
「競技レギュレーション、そこに大きな可能性が潜んでいる」とアリソンは付け加えた。「私ならそれをひとつ変更する」
「そのために周りの人たちから嫌われてしまうだろう。(メルセデスF1チーム代表)トト(・ウォルフ)は絶対に支持しないだろうね。でも私の考えはこうだ。青旗を完全に廃止するんだ!」
「そうすると速いマシンにとってはレースが完全に悪夢になるだろう。なぜなら周回遅れのマシンに近づいても、彼らはどいてくれなくなるんだ。戦いながら彼らを抜いていかなければならない」
「これでレースが毎回、最初から最後まで面白くなるだろう」
「つまりチーム同士が互いに関係を築かなければならない。不仲なチームとの関係に神経を尖らせることになるだろうね。政治的にも非常に興味をそそられることになるよ」
「このような変更は我々にとっては悲惨な状況をもたらすだろうが、長期的にはF1にとって面白い効果を及ぼすことになるだろう」