9月18日にル・マンで行なわれたACOフランス西部自動車クラブのプレスカンファレンスにおいて、WEC世界耐久選手権は2021年シーズンの暫定カレンダーを発表しているが、新型コロナウイルスの影響で開幕戦となるアメリカ・セブリングでのレースをキャンセルせざるを得ない場合に備え、“プランB”を準備しているという。
ただしシリーズCEOのジェラール・ヌブーは、セブリングにおけるIMSAとのジョイントイベントである“スーパーセブリング”開催に向けては「最大限の」努力を続けていくことを強調している。
新型コロナウイルスのパンデミックによって2020年3月に予定されていたセブリングは中止となったが、先週発表された2021年カレンダーに復活。開幕戦に先立ち、公式テストもセブリングで行なわれる予定となっている。WECの1000マイルレース決勝翌日には、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のセブリング12時間レースが開催される。
ヌブーは、新型コロナウイルス感染症の感染率と、その時点におけるアメリカの入国制限に、イベントの開催可否は依存すると説明する。
「ACOがIMSAとともに続けている努力は、セブリング12時間とセブリング1000マイルレースとのジョイントによって象徴されている」とヌブー。
「セブリングはおそらく、同じ週末にふたつのチャンピオンシップのレースができる、唯一の場所だ」
「それがイベントを維持するために最大限の努力をする理由だ。ジョン(・ドゥーナン/IMSAプレジデント)やIMSAの人々とも話し合った。どうなるかはいずれ分かるだろう」
「イベントまでまだ半年ある状況で、何かを言うことは不可能だ。向こう3カ月で何が起こるかも分からない。状況が許すなら、我々は必ずそこでレースを開催する」
ヌブーは、セブリングの代替レースを行なう必要がある場合の開催サーキットはすでに確保していると語るが、それ以上の詳細については発言を避けた。
「3月にアメリカへの移動の禁止、または移動に伴う制限が多すぎる場合を想定している」とヌブー。
「場所については教えられないが、(セブリングの)2週間後、3月から4月の間にヨーロッパで開催する予定だ」
Sportscar365は、WECのレースをポルトガルのポルティマオ(アルガルベ)で開催する可能性について議論が行なわれたと理解しているが、その時期にサーキットが使用できるかどうかは定かでない。
また、以前にWECのプレシーズンテストが開催されていたフランスのポールリカールも、先日ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでバルセロナ戦の代替ラウンドとして使用されたことから、議論に上がっている模様だ。
■初開催のモンツァは「ル・マン直後に最適」
ヌブーはまた、2021年の暫定カレンダーについて、8戦から6戦へのレース数の削減は予算を意識して決定されたものであり、チームによっても合意されていると述べた。
「カレンダーは常に、現状が反映されるものだ」とヌブーは言う。
「最新の状況に鑑みて、イベント数を減らすことが必要だった。誰にとっても理にかなっている」
「ヨーロッパ外で行なうイベントと、ヨーロッパ内で開催するイベントのバランスを重視し、チームがコストを節約できるようにすることが重要だった」
「パドックにはパートナーと、“主役”たちがいる。彼らを幸せにすることが重要だった」
初開催となるモンツァも、2021年カレンダーには含まれている。
「ル・マンのあとにシーズンを再開するにあたって、モンツァはよい場所となるだろう」とヌブー。
「ル・マンという象徴的なイベントの直後に位置するレースをオーガナイズするのは、常にチャレンジングだ」
「ドライバーにとって挑戦しがいがあり、かつ人気のある場所を見つける必要がある。モンツァは理想的なトラックだ」
「そのあと、ロジスティクスのためのブレイクがある。マニュファクチャラー(トヨタ)に近く、またファンもいるので、日本を訪れることは理にかなっている」
「最後に我々はバーレーンに向かう。バーレーンはスポーティングという側面において、シーズンフィナーレを飾るのに最適だ。昼にも夜にもレースを行なうことができるなど、そこにはさまざまなオプションがある」