そろそろ、テレワークに対する不満が募ってきた頃だろうか。ネット上でも「モチベーションが保てない」「長時間勤務が常態化した」「有給が取りにくくなった」という声が目立ってきた。今回は、テレワークのデメリットをどう軽減していけばいいのか考えてみたい。
東京都のテレワーク導入実態調査によると、都内企業でテレワークの導入率は57.8%。従業員300人以上の企業では76.8%、100~299人では65.1%、0~99人では49.0%と、大企業だけでなく中小企業にも広がっている。導入効果としては「通勤時間や勤務中の移動時間の削減」「育児中・介護中の従業員への対応」という声が多かった。(文:ふじいりょう)
オンライン化が「想像以上にストレス」といった声も
インフラエンジニアというブロガーの「テレワーク、終了。」というエントリーが8月下旬に話題となった。ブログでは「オフィスに通勤し、その中で経験できることの貴重さを思い知りました」と綴られており、周囲に人がいることにより仕事へのモチベーションが上がることを強調。
「テレワークからオフィスへ切り戻せない会社が今度は困るのです」
という主張に賛否両論が寄せられた。
また、はてな匿名ダイアリーでも「テレワーク、終了したい。」というエントリーが投稿され、3月から全社がテレワークに移行したという技術職が、以下のようなデメリットを挙げていた。
・読書等の通勤時間の合間でやっていた習慣がなくなった。
・通勤ついでにターミナル駅によって買い物できなくなった。
・外見を構わなくてもよいので、逆に自堕落になる。
・有給が取りにくくなった。
また、業務報告が日報ベースになり、深夜帯の連絡の対応などで「勤務時間の長時間化が起きた」とも語られており、それまで対面で済んだことがチャットになったことが「想像以上にストレス」としているほか、空調や照明、ネット回線の速度低下などオフィスでの恩恵を得られなくなったと指摘している。
就業環境の改善、メンタルヘルスに配慮することも必要
自宅の作業環境が整っていないと、オフィスと同程度の生産性が保てないケースは多いのではないだろうか。また、一日中自宅から出ないことによって運動不足になり、気持ちが塞ぎがちになると訴える声も多い。とりわけ、仕事とプライベートの公私を分けにくくなり、これによるストレスが新たな課題として顕在化してきていると言えそうだ。
筆者は、ライター・編集という仕事柄、新型コロナ以前よりテレワークが常態化していた。極端な話、PCと通信環境さえあればどこでも仕事ができる。そのため、オフィスや自宅はもちろんのこと、必要があれば駅のホームや道端のベンチで作業をすることさえあった。
プライベートの時間でも、仕事上のメール、メッセージがくれば対応するが当たり前で、24時間365日稼働しているような感覚でいた。その結果、ストレスと過労が溜まり、心身を壊して休養を余儀なくされた。
そこで、筆者の場合は21時から翌朝9時までのメール、チャットに対応しないこと、一日1回の散歩時にはPCやスマホなどのデバイスは持ち歩かないことを徹底した。この2つを実践することにより、以前より体調を崩すことが少なくなった。
テレワークは一見、ラッシュ時の通勤がなくなること、身体的な負担が減ることによるメリットが強調されがちだ。だが、テレワークが長期化するにつれ、一人で作業する孤独感、作業環境へのストレス、上司や同僚とのコミュニケーションに関するストレスなどの問題が顕在化されてきたのではないだろうか。
個々で適応に努めることも大事だが、今後は企業やマネジメント側が柔軟に対応し、就業環境の改善やメンタルヘルスに配慮することも必要になってくるだろう。