2020年のル・マン24時間レースでトヨタ2台の間に割って入り、総合2位を獲得したLMP1プライベーターのレベリオン・レーシング。チームCEOのキャリム・ブアドラは、2019年のル・マンよりマシンのパフォーマンスは改善されたものの、トラフィックのなかではトヨタTS050ハイブリッドに及ばなかったと述べた。
グスタボ・メネゼス/ブルーノ・セナ/ノルマン・ナト組の1号車レベリオンR13は、優勝したトヨタ8号車から5ラップダウンの2位でフィニッシュしている。
この結果は2018年の3位フィニッシュという記録を塗り替え、ル・マンにおけるレベリオン史上最高のリザルトとなった。2019年、レベリオンの2台は4位と5位に終わっていた。
2020年のレベリオンはセナによるレース中のファステストラップ記録(4周目)に象徴されるように1周のタイムでは速さを示したが、もっと有利なEoTが手にできたとしてもトヨタには届かなかったと、ブアドラは述べる。
「我々は2位でフィニッシュした。トップ争いができたわけではないが、この順位には値すると思う」とブアドラ。
「レースに向けた私の最高のシナリオは、2位と3位を得るというものだった。今年ル・マンを制することを夢見てはいたが、そう簡単ではない。チームはクレイジーな仕事をしてくれた。彼らは本当にハードワークを続けてくれたからハッピーだよ」
「今年は去年より良くなった。ペースも速くなったと思う」
「残念ながらいいペースを保つことはできなかったが、ブルーノがファステストラップをマークしてくれた。このクルマが今年とても速かったということを証明してくれたね」
「我々はトラフィックのなかで、非常に苦しんだ。(トヨタの持つ)ハイブリッドシステムは、間違いなくトラフィックのなかで有利だ。これは、将来EoTが考慮しなければいけないことのひとつだ」
「同時に、雨が降らなかったのは非常にラッキーだった。誰もが雨となることを予期していたが、幸い降られずに済んだ。これが、ル・マンでの最高の“ギフト”だったと思う。雨だったら、この表彰台はなかっただろう」
ブアドラはレースに向けてEoTが変更されたことにより、レース中により長い時間トヨタと競えることを予期していたという。EoTによってトヨタのマシンは重くなり、レベリオンは1スティントあたりの周回数においてもトヨタと同等となることが許されたからだ。だが、結局はトヨタが優勢となった。
「正直なところ、トヨタとのギャップは縮まると期待していたんだ」とブアドラ。
「EoTはたしかに良くなったが、やはりトヨタに有利だった。良いペースを保つためには、本当に完璧なレースが必要だった」
「レースで(トヨタと自分たちの)双方にミスが起きなかったら、最後にチャンスがあったとは思わないね」
■トヨタのバセロン「レベリオンにはふたつの点で驚いた」
トヨタGAZOO Racingのテクニカル・ディレクターを務めるパスカル・バセロンは、序盤に1号車レベリオンのセナが記録した発揮したスピードに関して、トヨタは「はっきりと心配していた」と言う。
セナはスタート直後のダンロップシケイン進入で、PPからスタートしたトヨタ7号車TS050ハイブリッドのマイク・コンウェイに対してマシンを並べようとしたが、ブレーキングゾーンではコンウェイがリードを守った。
その後、1号車レベリオンはオープニングスティントの間はトヨタ2台のあいだで走り、コンウェイを追った。しかしピットストップでトヨタの8号車TS050ハイブリッドが1号車を逆転し、トヨタのワン・ツーとなった。
バセロンは「我々はレベリオンに関して、ふたつの点で驚いた」と語る。
「まずは、ブルーノのペースに驚かされた。プラクティスの間、彼はチームメイトと比べて特段速くは見えなかった」
「彼がレースでファステストをマークしたのを見て、我々ははっきりと心配になった」
「その後、我々の把握していない理由により、レベリオンのペースは大幅に遅くなった」
「最初のスティントはブルーノの速さを非常に心配したが、そこから急激にペースが落ちるという面でも、驚かされることになった」
「タイヤのデグラデーションなのか、トラフィックの問題なのか……それは分からない。だがアベレージラップが我々の事前の予想ほど速くなかったのを見て、我々はとても驚いた」