2020年09月16日 17:21 弁護士ドットコム
夫婦同姓を義務付けた民法の規定は、法の下の平等を定めた憲法に反するなどとして、広島市の医師、恩地いづみさんが国を相手に損害賠償を求めた訴訟(第二次夫婦別姓訴訟)で、広島高裁は9月16日、原告の訴えを棄却する判決を言い渡した。
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第二次夫婦別姓訴訟は、東京地裁、同地裁立川支部でも提訴されたが、いずれも原告の訴えは棄却されて、現在は東京高裁で訴訟がおこなわれている。控訴審判決は、広島高裁が初めて。
原告側は、最高裁に上告する方針。選択的夫婦別姓をめぐっては、2015年に最高裁が「同性は合憲」とする判決を出している(第一次夫婦別姓訴訟)。
訴状などによると、原告側は別姓で婚姻できないために、法律婚夫婦にのみ与えられている法的権利や利益を享受することができないとして、法の下に平等を定める憲法14条1項の「信条」による差別があるなどと主張していた。
恩地さんは1983年、結婚して夫の姓に改姓し、職場では旧姓使用していたが、7年後にペーパー離婚して自分の姓に戻ったという。以後、事実婚を通してきたが、第二次夫婦別姓訴訟の動きを知り、原告となった。
判決後の会見で、恩地さんは「残念ながら、勝訴の”びろーん”を使えませんでした」とする一方、判決文の一部を読み上げて、今後の抱負を語った。
「『ただし、平成27(2015)年、最高裁判決以降も多くの地方議会から選択的夫婦別姓制度の導入や審議などを求める意見書が国会などに提出されていることや、女子差別撤廃委員会が我が国に対し、本件各規定の改廃を行うよう、たびたび勧告していることは、重く受け止めるべきであり、国会には選択的夫婦別氏制度の導入を求めている人たちの声に謙虚に耳を傾け、現在の社会情勢をふまえた真摯な議論を行うことが期待される』
ここが裁判長の言いたかったところだと信じたいと思います。東京(最高裁)でもがんばります」