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育児アドバイザーに聞く、みんなの子育て相談室 第45回 なんでも食べる子になるためには?

2020年09月16日 15:22  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

秋の味覚に魅了されつい食べすぎてしまう最近ですが、「子どもが食べない」というご相談は時期を問わずとても多く寄せられます。食欲を抑えられるなんて羨ましいと思ってしまいますが、子どもの成長を願うお母さんお父さんにとっては悩みの種ですね。

今回は、「せっかく作ったのに子どもが食べないので、最初は『一口でもいいから食べようね』と優しく言っているのですが、遊び始めたりして、イライラしてきます。どうすればいいのでしょうか」というご相談に親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。
○食べるタイミングを調整しよう

一生懸命に作った料理を美味しそうに食べてくれると嬉しいですね。反対に食べないと「おいしくなかったのかな……」と自分を責める気持ちもあって、「まあ、食べたくない日もあるよね」と客観的に受け止められない気持ちもわかります。

栄養のバランスを考えていろんなものを食べさせねばと心配になるかと思いますが、年齢によっては「1週間でバランスが取れれば大丈夫」と余裕を持って捉えましょう。

まず、食事を少ししか食べない場合は、おやつやジュースを取り過ぎていないか振り返ってみましょう。お子さんの胃は、親が思っているよりも小さいので、お菓子をちょっと食べたりジュースを飲んだりしていると、それだけでお腹いっぱいになって食事が入らないということがあります。

とはいえ「でも、子どもが『お腹すいた』というので、夕食まで待たせずに食べさせています」という声は多いで。その場合は、お家の食事タイムに小さい子どもが合わせるのは無理なので、子どものお腹がすく時間に夕食をとれるように調整できるといいですね。

なるべく食事と食事の間はなにも食べずに、歯と胃を休ませることは大切です。虫歯になるリスクも減らせます。「空腹」が一番のスパイスです。お腹が空いたタイミングで、夕食(昼食)にすると子どもも食べるようになりますよ。
○食事の時間を一緒に楽しむ

親はつい子どもに食べさせることに一生懸命になってしまいますが、それについて考えすぎて食事の時間が辛い時間になってしまっては本末転倒です。食事は栄養摂取をするだけの時間ではありません。

お母さんお父さんが美味しそうに食べる姿を見て、子どももリラックスして、食欲が増します。モグモグ噛んでいる様子や、お箸を上手に使っている姿を見て、子どもは真似したくなって自らやりたがるようになるはずです。そのため、子どもに食べさせるより親が率先して食べるようにしましょう。

「いただきますは?」と言わせるより「わあ、おいしそうだね! いただきます!」と毎回親が言う姿を見せたほうが食事を楽しい時間に思え、心待ちにできる時間になっていきます。
○食に興味を持つことばを添える

誰しも初めて見る食材や料理は敬遠してしまうものですし、子どもも同様です。年齢が小さければなおのこと初めての機会は多いでしょう。

そんな時は、「文句言わずに食べなさい!」と指示するよりも、「わあ、このサンマ美味しそう!秋の味がするよ!」「お、これはもちもちしてるけど、こっちはシャキシャキしてる」など、子どもが「どんな味なのかな?」「僕も食べてみたい!」と思えるようなことばをかけられるといいですね。

また、「からだを丈夫にするため」「キレイなお肌をつくるため」「賢い頭を作るため」……などご飯を食べる意味も伝えるようにしましょう。

ただ"食べなさい"と指示するよりも説得力があります。伝え方も「食べないと大きくなれないよ」ではなく、「野菜を食べるとキレイなお姉さんになれるよ」と肯定的なことばのほうが子どもも納得しやすいと思います。
○当たり前と思わず認めることばをかける

多くのお母さんお父さんは、子どもが苦手なものを食べた時には、「ピーマン食べたの! すごいね」などと褒めても、食べられる日が2、3日続くとそんなの当たり前だと思い、何も言わなくなってしまいます。当たり前のことこそことばに出しましょう。

「お、今日もピーマン食べたね!」「毎日ピーマン食べてるから、力が強くなったよね!」など、前向きなことばをずっとかけられるといいですね。

子どもは親に言われたことばが頭に残っていくので、「ピーマン食べて力が強くなった」と言われればそう思っていきますし、「ピーマン苦手だよね」と言われれば、やはり苦手になっていきますので、気をつけましょう。

褒めたり叱ったりして食べさせるよりも、子どもが自分から食べたいと思って食べるようになっていくことばかけをしていけるといいですね。

天野ひかり あまのひかり ・親子コミュニケーションアドバイザー ・NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事 上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師など。 自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰。 ■著書 ・Amazon子育てランキング1位のロングセラー 「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版 ・最新刊 「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。 この著者の記事一覧はこちら(天野ひかり)