12日に行われたNTTインディカー・シリーズ第10戦ミド・オハイオ。決勝レースは、ポールポジションからスタートしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が、今シーズン初勝利を飾った。
18番手からスタートした佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、追い上げることができず17位でレースを終えている。
2グループに分かれての予選、今回は雨などの要素が絡んでいないのに、先に走ったグループ1の方がタイムがよかった。
そのおかげでポールポジションを手に入れたのがウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。彼は同じグループで2番手に付けたチームメイトのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)に0.2秒の差をつけてみせた。これが通算60回目のPポールポジションだ。
パワーの速さはレースでも変わらなかった。6000人限定でファンのサーキットでの観戦が許された今回、スタートでトップをキープしたパワーは、2番手に浮上してきたニューガーデン以下を突き放し、その後は差をコントロールする余裕すらあった。
2回のピット作業も完璧で、イエローコーションに邪魔をされることもなく、マシンが壊れることもなかったパワーは、75周のレースが終盤を迎えた時には10秒近い差を持つまでになっており最後はクルージングモード。
7秒以上の差をつけたの久々の圧倒的勝利を飾った。今季初優勝で、キャリア38勝目だ。
「10年ぶりぐらいじゃないだろうか、ゴールまでハードに攻め続けたのは……。燃費競争とか、イエローなどに影響を受けない、それぞれの持つスピードが勝敗を決めるレースになっていた」とパワーは喜んでいた。
「これで未勝利リストからミド・オハイオを外すことにもなり、うれしい」とパワー。過去4度ポールポジションはいずれも勝利に結びつけることができず、5度目のポールスタートでミド・オハイオ初勝利を挙げることとなった。
2位はニューガーデン。ポイント争いで2番手につける彼としては、ポイントリーダーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が予選17番手と苦しいポジションからのスタートとなっていたため、是非とも勝っておきたいところだったが、チームメイトがそれを阻んだ。
ディクソンは最終的に10位でゴール。ふたりのポイント差は94点から76点に縮まった。残りは4戦だ。
3位はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)。先輩チームメイトのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)を抜けずにいたが、2回目のピットストップを早めにしてハンター-レイの前に出ることに成功。
早く入った分だけ燃費セーブが必要だったが、それをクリアして、なおかつグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)の攻撃も跳ね除けて今季2回目の表彰台に上った。
4位はレイホール。5位はハンター-レイ。6位は予選7番手だったフェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。
7、8位は今シーズン奮闘を見せ続けてきているジャック・ハーベイ(メイヤー・シャンク・レーシング)とリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)。9位は、逆に今シーズンはパフォーマンスが期待より低めのコルトン・ハータ(アンドレッティ・ハーディング・スタインブレナー・オートスポート)。
佐藤琢磨は予選18番手、決勝は17位と厳しい1日になっていた。今日のレースではブラックとレッド、二種類のタイヤのパフォーマンスに差があまりなく、フルコースコーションも出なかったために大きくポジションアップするのは難しかった。
「厳しいレースになりました。多くのハードワークを注ぎ込みましたが、それが結果に反映されなかったのが残念です。今日のレースはドラマがありませんでしたね。フルコーションの出ない展開にもいなっていました」
「作戦でポジションを稼ぐことも目指しましたが、それも果たせませんでした。明日に向け、マシンを良くしないとなりません。今日は暑くて汗もかいて、体重が減りました。今晩ゆっくり休めば、明日は大丈夫と思います」と琢磨はコメントした。
明日のシリーズ第11戦は、プラクティスなしでイキナリ予選=10時15分から。その後、午後1時前には決勝のスタートが切られる。