新型コロナの影響で、孫に会えずに寂しい思いをしている人は多いだろう。ヤフー知恵袋に8月下旬、「息子のお嫁さんがコロナを理由に孫に会わせてくれません」という相談が寄せられた。相談者は東京都在住の女性。3人の息子がいるものの、結婚して家を出たのは末っ子の一人だけ。たった一人の孫は1歳の可愛い盛りだが、感染予防のためと息子に言われ、正月から会えていないと嘆いている。
この秋、嫁は二人目を出産する予定だが、上の子も連れて遠方の県に里帰り出産することや、病院も面会謝絶なので赤ちゃんに会えないと聞いた相談者。「内孫なのに、お嫁さんのご両親ばかりが孫に会えて、長期で一緒に暮らすことができて、羨ましいです」と不満をこぼし、
「お嫁さんの実家の玄関まで行って、産まれた孫を見せて貰ったりはお願いしてもいいでしょうか?せめて上の子だけでも抱っこしたりしたいです」
と相談していた。(文:篠原みつき)
「自分の願望ばっかり」「『内孫なのに』と言っている時点でアウトです」
「内孫」とは、家や姓を継ぐ孫のことだが、いまどきそれを自分の権利のように振りかざすのは時代錯誤だ。相談者のあと2人の息子はこの先結婚する望みが無いらしく、唯一の孫に全神経が集中してしまっている様子だ。
相談者は、「息子からは、電話の声や言葉の端々に『お母さんにも会わせてあげたいけど……』という気持ちが聞こえます」と息子を庇い、
「私たちには会わせないけれど、あちらの両親とはしばらく生活するという方針が、お嫁さんの希望なのだと思うと、悲しみと怒りがどうしても」
と、憤りを綴っていた。なぜか怒りの矛先は嫁に向かっている。
この相談に対する回答は、「相談者がわがまま」と批判する声が相次いだ。
「自分のことしか考えていない義母だなと思いました。(中略)そもそも、『内孫なのに』と言っている時点でアウトです。だから何?って感じ」
「うわぁ最低……自分の願望ばっかり……。東京に住んでるのに、自分が無症状でウィルス運んで感染させちゃう可能性より、抱っこの願望の方が先なんですね」
間違っても嫁の実家に押し掛けてはいけない、申し出るだけで非常識、「そんなことしたら絶縁もの」など、相談者の希望に大反対する声が溢れた。「いまは仕方がない、男親なのだから諦めて我慢すべき」と厳しく諭す人も多かった。
「コロナが理由ではなく、干渉を嫌がられているのでは」という指摘
この相談のベストアンサーとなったのは、「コロナが理由というよりは、干渉してくる姑が嫌なのかもしれない」という指摘だ。つまり、単に嫌われているだけかもしれない。実は相談者は返信のなかで、
「上の子の里帰り出産中、頼まれていないのにお嫁さんのいない息子夫婦の家を掃除しに行った」
「相談もなしに自分が泊まる時用に布団セットを購入した」
「お嫁さんの前で内孫だ!と言ったり、孫に一人で来て欲しいと言った」
などを夫に指摘されたと書いている。お嫁さんがこれをやられたら相当嫌だろうということばかりで、コロナ禍でなくともあまり会いたくないだろう、と容易に想像できる。義母に必要なのは、一歩引いて見守る姿勢だろう。
回答の中には、「孫がいておばあちゃんと呼ばれるだけでも幸せだと思えませんか?それすら味わえない人もたくさんいますよ」と諭す人もいて、確かにその通りだ。東京都内の感染者数はゆるやかに下降しているとはいえ、9日の新規感染者は149人にものぼる。可愛い1歳児や新生児に会いたい気持ちは分かるが、いまは自重して距離を取っていないと、「嫌われて一生会えなくなりますよ」という助言が現実のものになりかねない。