セルジオ・ペレスがレーシングポイントF1チームを2020年末で去ることを、両者が正式に発表した。
現在30歳のペレスは2011年にザウバーからF1デビュー、2013年にマクラーレンに移籍したものの1年で離脱、2014年にレーシングポイントの前身フォース・インディアに加入した。今年は同チームに加入して7年目であり、その間に5回の表彰台を獲得、2016年と2017年にはチームのコンストラクターズ選手権4位という好成績に貢献した。
2018年、レーシングポイントが資金難に陥った際に、チームは生き残りのために破産手続きを行って売却先を探し、現オーナーのローレンス・ストロール率いるコンソーシアムへの売却が成立した。チームの継続を可能にするためのこの決断のなかで、ペレスが大きな役割を果たしたことは広く知られている。
2019年にレーシングポイントはペレスと2022年末までの長期契約を結んだことを発表した。しかし2021年からアストンマーティンF1チームとして活動する同チームは、4度のチャンピオン、セバスチャン・ベッテルが2020年末でフェラーリを去ることが発表された後、彼の獲得に動き始めたといううわさが浮上。現ドライバーのうちランス・ストロールはオーナーの息子であるため、ペレスがシートを喪失する可能性が高まり、チームの動きに注目が集まっていた。
9月9日にペレスとレーシングポイントはそれぞれ、2020年シーズン末で両者が袂を分かつことが決定したというリリースを発表した。これによりベッテルとレーシングポイントの契約がまとまった可能性が高いと考えられる。
■「納得いくチームを見つけてF1に残りたい」とペレス
「人生のすべてに始まりがあれば終わりもある。7年間このチームと共に過ごしてきたが、彼らとの時間は今シーズンの後に終わることになる」とペレスはコメントしている。
「非常に厳しい時期にもチームを信じてきたので、辛い思いはある。僕らは苦難を乗り越えた。チームの仲間たちの職を救ったことを僕は誇りに思っている」
「ともに経験した素晴らしい瞬間、友情、常に全力を注いだという満足感を忘れることはないだろう」
「ビジャイ・マリヤからチャンスを与えられたことに対する感謝の気持ちはずっと忘れない。彼は2014年に僕を信頼し、フォース・インディアとともにF1キャリアを続けることを可能にしてくれた」
「ローレンス・ストロールが率いる現在の運営陣の今後の幸運を祈る。彼らは現在アストンマーティンのプロジェクトに取り組んでいる」
「僕にはプランBはない。ここでレースを続けていきたいと思っている。ただ、1周1周自分の力を100パーセント注ぎ続けるモチベーションを与えてくれるプロジェクトを見つけられるかどうかにかかってくる」
「この10年間応援してくれたすべての人達に感謝する。家族は何が起きようとも僕を支え続けてくれた」
「僕のプロジェクトを信じてくれたすべてのスポンサーやスタッフにお礼を言いたい。そして何よりこのF1という素晴らしい冒険を経験する機会を授けてくれた神に感謝する」
「近いうちに皆さんにいいニュースをお伝えできることを願っている。だが今は、共にレースを楽しんでいこう」
「いつも皆さんのことを思っている」
チームは「レーシングポイントの全員がセルジオの長年のハードワークと貢献に感謝し、今後の成功を願っている」とし、チームのCEOおよび代表のオットマー・サフナウアーは次のようにコメントした。
「チェコは7年間、シルバーストンに拠点を置く我々チームのファミリーの一員だった。その間に彼は最も完成されたF1ドライバーのひとりに成長した」
「土曜にも日曜にも極めて速く、粘り強いレーサーとしての評価を確立した。我々は彼と素晴らしい瞬間を何度も共有した。表彰台のチャンスがわずかでも訪れれば、チェコはそれに飛びつく準備ができていた。5回の表彰台は我々チームの歴史のなかで最高の日々を象徴するものである」
「マシンを離れたチェコは、優れた人柄の人物で、いい友人である。彼とこれほど長く共に働けたことは我々にとって喜びだ」
「今年の終わりに別れを告げることになるが、まだ9戦が残っている。チェコが我々チームと共に特別な思い出を作る機会はまだたくさんある」