2020年09月07日 11:01 弁護士ドットコム
またしても、車内に取り残された幼子が熱中症で命を落とす痛ましい事件が起きた。9月3日、高松市内の路上に止められた車内で6歳と3歳の姉妹が亡くなり、前日の夜から15時間あまり2児を放置して死なせたとして、姉妹の母親が4日、香川県警に保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されたと報じられている。
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毎年、夏になるとこのような事件や事故が発生する。「子どもを残しているのを忘れてしまった」、「すぐに戻るつもりだった」など理由はさまざまだ。しかし、今回の事件報道を受け、ネットには「これは殺人ではないのか」という声も多数あがっている。
子どもを車内に放置して死なせてしまった場合、どういった罪になる可能性があるのだろうか。また殺人罪に問われる可能性はないのか。和氣良浩弁護士に聞いた。
「法令や契約または既に自分がした行為等から、幼い子ども(刑法上『幼年者』といいます)のような保護を必要とする人の生死をコントロールできる立場にある人は、『保護責任者』にあたります。そして炎天下の車内のような危険な場所に幼年者を放置することは、『遺棄』という行為にあたります。
そのような行為によって幼年者を死なせてしまった場合には、保護責任者遺棄致死罪(刑法218条、219条)に問われ、2年以上の有期懲役という重い刑罰を受けることとなります。
なぜこのような重い刑罰が科されているのかといいますと、幼い子どもは、『誰かの助けがなければ死んでしまうかもしれない』存在です。炎天下の車内は密室で、あっという間に猛烈な暑さとなります。
子どもの身近にいる大人として、炎天下の車内という場所自体が危険な場所であるという認識と、幼い子どもの生死は、常に身近な大人の手に委ねられているという意識が必要なのだと思います。
なお、今回のような事例で保護する義務のある者が『死んでしまうかもしれないけど、仕方ない』などと考えていた場合には、殺人罪(刑法199条)に問われる可能性もあり、その場合には死刑又は無期若しくは5年以上の懲役というさらに重い刑罰を受けることとなります」