2020年09月06日 09:31 弁護士ドットコム
性被害にあったとき、まず何をすればいいのか。対処法を知る人はそう多くはないが、直後の行動がのちの捜査や裁判に影響することもある。
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「知ることで変えられる未来がある」という思いのもと、弁護士や臨床心理士と共に性被害やメンタルケアについての情報を発信するメディアが8月1日、立ち上がった。
運営するのは、NPO法人(申請中)の「mimosas(ミモザ)」(https://mimosas.jp/)。ファッショナブルなデザインで「必要な正しい情報」を伝え、性別やセクシュアリティを問わず「被害者が自分を責めないでいられる世界」を目指す。
「性被害にあったが、どうすればいいか分からない」。臨床心理士として活動するみたらし加奈さんのSNSには、頼れる場所がどこにもない性暴力被害者からメッセージが届く。
そんな中、メディアプロデューサーの疋田万理さんから「性被害や性的同意について、周知できるメディアを立ち上げないか」と声をかけられ、二つ返事で参加。現在、弁護士や臨床心理士、デザイナーなど約15人で企画・運営している。
「ネットで性被害について検索しても、どれが正しいか判断がつかない。文字だらけの情報は読み込むのも負担になる」とみたらしさん。mimosasはインスタグラム、Twitter、noteを使い分け、被害にあって混乱している状態でも、負担なく視覚的にわかりやすく読めるようにした。
被害のトラウマや心の傷とどう向き合っていけばいいのか、カウンセリングの受け方も説明する。
「事前に対処法を把握しておくことで、不安から解消されて、トラブルに巻き込まれた時も支援を求めやすくなる。知識は盾になります」
mimosasの法的監修を担当する川本瑞紀弁護士は「被害にあったらとにかく早く公的機関に相談することが大事」と話す。性暴力事件では同意があったかどうかが一番問題となるが、同意の有無をみる間接事実として、被害後いつ他人に申告したのかが重視されるためだ。
「相談が早ければ早いほど、行為への同意がなく嫌だったんだろうという推定がはたらきます。被害後すぐに警察に相談に行くのと1カ月経ってから行くのでは全く違うのです」
川本弁護士は「性犯罪にあったらどうすればいいか、たくさんの人がぼんやりとでも知っている状態がすごく大事」と話す。
「警察庁や内閣府、弁護士事務所のサイトも情報を発信していますが、被害にあったときに最初に相談するのは友達ですよね。何かあった時に情報を探す元気もないかもしれないけど、誰かがmimosasをフォローしていれば教えてあげられる。こうした情報が常識になってほしいです」
「mimosas」がもう一つ軸にしているのが、性的な行為の前に相手の意思を確認する「性的同意」のカルチャーを広めることだ。みたらしさんは「ファッションの話をするのと同じくらいのテンションで、性的同意の話がフランクにできるのが理想」という。
「自分の体は自分だけのもの。同意のない性行為を少しでも減らすために、NOを言いやすい社会にしたいです。性的同意の概念を知っていたら、性暴力を受けた際に“私が悪いのかもしれない”と自分を責めることもなくなると思います」
SNSでは早速「こうしたメディアに出会えて良かった」という声が寄せられているという。みたらしさんは「今後は動画コンテンツの発信や、mimosasオリジナルのグッズ展開もしていく予定です。是非楽しみにしてください」と話した。