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レッドブル・ホンダ分析:モンツァ仕様のセットアップは調整の余地あり。厳格化されたトラックリミット遵守も重要に

2020年09月05日 11:01  AUTOSPORT web

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2020年F1第8戦イタリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
真夏の高速3連戦の第2ラウンドは、モンツァが舞台の第8戦イタリアGPだ。このサーキットの特徴は、なんと言ってもシリーズのなかで最も高速だということ。

 昨年のポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)の平均時速は時速262.962kmで、メインストレートエンドでの最高速度も時速349.7kmだった。これはいずれも昨シーズン全21戦中、最高値。1週間前のベルギーGPのポールタイムの平均時速が時速249.026kmで、ケメル・ストレートエンドの最高速がダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)の時速336.8kmだったことを考えると、スパとモンツァは似て非なるものだというのがわかる。

 したがって、このイタリアGPにはモンツァのためだけに開発された特別仕様となるローダウンフォース・パッケージが投入されることが多い。

 レッドブル・ホンダもそのスペシャルパッケージを投入し、金曜日のフリー走行でふたりのドライバーによって試されていた。それは、どこまでダウンフォースを削ればいいかの確認だ。

 その最初の確認作業となったフリー走行1回目で、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が9コーナーでコントロールを失い、10コーナーのタイヤバリアにクラッシュした。9~10コーナーはアスカリ・シケインの出口だ。モンツァにはシケインが3つあり、1~2コーナーとなる1つ目のシケインは時速約90km、4~5コーナーとなる2つ目のシケインは時速約120kmで通過する低速コーナーだが、アスカリ・シケインは、『シケイン』とは名ばかりで、入口となる8コーナーは時速約200kmまでしか減速しない高速のS字コーナーなのである。

 つまり、ペラペラのリヤウイングでシルバーストンのマゴッツ~ベケッツ~チャペルを走るようなもので、マシンコントロールが難しい場所だ。にもかかわらず、その後にバックストレートが続くので、出口に向かって脱出スピードを上げようと、少しでも早くアクセルを開けたいところであり、ミスを犯しやすい。昨年はレースでセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がスピンし、今年はFIA-F2でミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)が予選でマシンを大破させるクラッシュを犯している。

「全般的なバランスとグリップに苦しんでいた」というフェルスタッペンのクラッシュも、こうしたなかで起きたクラッシュだったと思われる。ただし、クラッシュしてダメージを負ったのが主にノーズとフロントウイングだったため、修復にそれほど時間を要しなかったこと。またクラッシュしたタイミングがフリー走行1回目の40分タイヤの返却時とほぼ同じだったため、プログラムに大きなロスが生じなかったことは不幸中の幸いだった。

 フリー走行2回目の予選シミュレーションでは、ホンダ勢トップの座をアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーに譲り、5番手にとどまった。だが、これはセクター2で若干ミスしていたのが響いた。区間ベストをつなげば、フェルスタッペンのタイムは3番手のランド・ノリス(マクラーレン)のタイムを上回っていた。マシンのセットアップはまだ調整の余地があるようだが、それよりも土曜日の予選ではいかにアタックを1周に渡ってうまくまとめるかがポイントになるだろう。

 これはチームメートのアレクサンダー・アルボンも同じ。フリー走行2回目ではベストタイムが1分21秒883に終わったが、じつはその2周前に1分21秒531を出していた。ただし、これは「11コーナーでトラックリミットを越えてしまったために抹消されてしまった」(アルボン)

 11コーナーは最終コーナーのパラボリカで、ここはこれまでのコースリミットよりも厳しく、縁石ではなく白線を4輪とも超えるとタイムが抹消させる。フリー走行2回目ではアルボン以外にも9人のドライバーがタイムを抹消された。今回は11コーナーのほかにも5コーナーにもトラックリミットが設定されている。

 土曜日のアタックでは、全区間のタイムをまとめることと同時に、このトラックリミットを守ることもポイントとなりそうだ。