新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークにシフトする企業が増えている今、新しいビジネスマナーも生まれるのかもしれない。「Zoom」などのウェブ会議ツールの利用に特化したマナー本『超基本 テレワークマナーの教科書』(西出ひろ子著 あさ出版)が9月3日に発売された。
昨今、ネット上では「会議開始の5分前にはルームに入る」「終わる時は深々と頭を下げながら会議終了ボタンを押す」などのウェブ会議ならではの"マナー"が誕生しているという声もみられる。若干行き過ぎているようにも思えるが、本当に守るべきマナーとはどんなものだろうか。同書から一部を抜粋して紹介してみたい。
「オンラインミーティングの入室は1分前でOK」
書籍紹介によると、テレワークは多くの日本企業で馴染みがなかった新しい制度である上に、急に取り組まざるを得なくなったことから、やり方がわからないばかりに、失礼を働いてしまったり、反対に気を使いすぎて失敗したりといった事例が出ているという。
そこで、同書では次のような"テレワークマナー"を紹介している。
『オンラインミーティングの入室は1分前でOK』
理由は「これで十分間に合うから」と説く。アプリによっては、ホストが会議室を開くまで入室できない仕組みのものある。この場合は、席を立たずにPCの前で入室できる状態になるまで待つのがベター。会議室を開いた時に席を離れていたら、遅刻したと受け取られる可能性もあるという。
『始業前には「今日の予定」をメールで報告』
こちらは、一緒に仕事を行うチーム間のマナー。スケジュールを共有することで、互いの仕事の状況が理解でき、「なかなか返事が来ない」といった不信感も生まれづらくなると理由を説明する。
実際に、著者の西出氏がマナーコンサルを手掛けるクライアント企業の多くにも「始業時間になったら、その日の予定を箇条書きにして上司や同僚全員に送る」というルールを導入させており、チーム間のトラブル減少につながっているという。
「"しなくてはいけないこと"ではありません」
『オンラインミーティングで席次を気にする必要はありません』
そもそもアプリ自体が席次を意識した仕組みになっておらず、入退室に時間をかけ、時間通りにミーティングを始められない方が非効率的であり、非現実的、と西出氏は指摘する。また、自分の見ている画面と上司の見ている画面が必ずしも同じとは限らず、いちいち気にしても仕方ないとしている。
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同書冒頭の"はじめに"では「マナーは決まりごとではありませんし、強要するものでもありません」と強調している。その上で、
「本書で紹介しているマナー・対応も、『しなくてはいけないこと』ではありません。皆さんが『これは取り入れてみようかな』と思ったものを試してみてください」
と呼び掛けている。時代とともに移り替わるビジネスマナーに、テレワークならではのマナーが生まれても何ら不思議ではないだろう。ただ、過剰なマナーが生まれてやりにくくなるのは避けたいところだ。価格は1100円(税別)。