帝国データバンクは9月3日、8月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表した。調査は8月にネット上で実施し、全国1万2000社から回答を得た。
8月の景気DIは、3か月連続プラスの29.7(前月比0.6ポイント増)だった。
今後1年の見通しは「横ばい傾向で推移」
8月の国内景気は、経済活動の持ち直しがプラス要因になった一方、地域独自の緊急事態宣言などが影響感を下押し。自宅内消費の拡大や新たな住宅ニーズの高まりなどのほか、国内での自動車部品の生産持ち直しや猛暑対策商品の製造・販売、米国・中国向け輸出の増加などはプラス材料だった。
一方、新型コロナウイルスの影響に加えて、野菜などの生育不足に伴う価格高騰は、農林水産や飲食料品関連でマイナス材料になった。また、宿泊事業を含めた設備稼働率は引き続き低い水準で推移した。総じて、国内景気は緩やかに持ち直しの動きがみられたが、わずかな回復にとどまったと言える。
業界別にみると、「製造」(25.9、前月比1.0ポイント増)や「運輸・倉庫」(25.4、同1.2ポイント増)など7業界でプラスだったものの、全業界で40を下回る低水準が継続。「小売」(30.3、同0.7ポイント減)や「農・林・水産」(31.0、同0.4ポイント減)など3業界は悪化した。
地域別では、「北海道」(33.4、同1.1ポイント増)や「南関東」(30.4、同0.7ポイント増)など10地域中9地域でプラスだった。公共工事の発注や自宅内消費が地域経済を下支えする要因になったとみられる。一方、唯一「九州」(31.8、同0.7ポイント減)は悪化した。
今後1年程度の国内景気は、新しい生活様式への対応による新規需要の創出が見込まれるほか、観光振興などの各種消費支援策もあり、個人消費の持ち直しが期待されるという。また、挽回生産や工場の国内回帰といった自国生産の拡大は設備投資を促すほか、抑制されていた需要の顕在化などもプラス要因になるとみられる。
一方、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染状況は、今後も最大のリスクになり得る。また、企業業績の悪化に伴う雇用・所得環境の悪化が懸念されるほか、新政権による政策や米国大統領選の行方も注視される。帝国データバンクは「今後の景気は、個人消費の持ち直しが期待されるほか、横ばい傾向で推移するとみられる」と考察している。