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鈴木このみが「舞い降りてきた雪」語る -『恋プロ』にちなんだ”女性らしさ”に挑戦

2020年09月02日 12:02  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
●歌声を活かすサウンドだからこそ、強く感じたプレッシャー

7月から3カ月連続で夏アニメの主題歌シングルをリリース中の、アニソンシンガー・鈴木このみ。そのラストを飾るシングルが、”恋とプロデューサー featuring Konomi Suzuki”としてリリースする「舞い降りてきた雪」だ。

TVアニメ『恋とプロデューサー~EVOL×LOVE~』のEDテーマとなっているこの曲は歌声に温かみを乗せたウインターバラード。この2カ月リリースしてきた「Theater of Life」「Realize」とは異なるテイストの楽曲に仕上がっている。カップリングも含めて『恋プロ』の世界に寄り添い、新たな挑戦にも取り組んだ本作について語ってもらった。
○●1曲を通して強く意識した、“女性ならでは”の要素

――今回のシングルではアーティストとしての名義が、普段と違っていますね

まさに名義通り、『恋プロ』の世界観に1枚まるごとどっぷり浸かった鈴木このみ……というコンセプトの1枚になっています。『恋プロ』の主人公は会社を建て直すべく頑張る女の子なんですけど、まさに”会社で頑張る女性”というものがコンセプトになっていて、かなり新しい扉を開いた1枚になったな、と感じています。

――表題曲「舞い降りてきた雪」自体も、7・8月のシングルのような攻め攻めのバンドサウンドではなく温かなポップスと、違いが感じられます。

自分が表題曲でこういう曲を歌うことって珍しいと思うんですよ。例えば「Theater of Life」とか「Realize」にはちょっと少年感があります。最近、「自分の中に少年性を持ち合わせている」と感じているのもあって、そういう曲のほうが得意なんです。

でも、この1枚では女性らしい繊細さや女性ならではの力強さをすごく意識しながら歌っていきました。それにこの曲って、なんだかちょっともどかしさも感じるんですよ。

――もどかしさですか?

そうなんです。例えば『デカダンス』も『Re:ゼロから始める異世界生活』も、主人公の意志がすごく強いじゃないですか? でも『恋プロ』は、前2作品とは違って「変わりたい」と頭でわかっていても、なかなかうまくいかない女性像というか……。そういうもどかしさも描かれているところが、この曲の魅力のひとつになっているように思います。

――女性に限らず男性でも同じような想いを抱えている方も多いでしょうし、そういう意味で”現実感”という意味でのリアルさを非常に感じる曲ですよね。

たしかに。それこそ学校や会社とかいろいろなところで頑張る人に対して、すごく身近に感じてもらえる楽曲だと思います。

――「Realize」のカップリングの「A Beautiful Mistake」とはまた違った意味合いで、夢に向かっている人にエネルギーをくれる曲という印象がありました。

やっぱり「舞い降りてきた雪」というタイトルもあって、雪が手のひらに落ちて溶けるような、女性ならではの優しさもある曲です。でも、フルサイズを聴くと、繊細に入ってくるAメロに対して、大サビは力強くて、1曲通してかなり違う印象を受けるというところもポイントなんです。まるで1曲の中で、主人公の女の子が成長を遂げていくような、いろいろな面を楽しめるものになっています。ただ、楽曲構成がすごくシンプルな分、歌が悪いとすべて台無しになってしまうようにも感じていまして……。

――歌う際にはそういったプレッシャーを感じていた。

はい。楽器陣がガンガン鳴っているような曲ではなくて、どちらかというと歌をサポートしてくれるようなサウンドになっているので。あと、今まであまり歌ったことのない曲調だからこそ、「もしここでできなかったら、今後こういう曲を歌わせてもらえないかもしれない」みたいな気持ちもちょっとありました(笑)。でも、これでもし皆さんに受け入れてもらえたら、私自身も歌手としての幅が広がるんじゃないかなと思いました。そういう意味でも、「勝負の1枚になっているんじゃないかな」という気持ちで歌っていきました。
○●腐心したのは、女性らしさと冬の雰囲気の表現

――実際歌ってみて、歌いやすさみたいなものは感じましたか?

感じました。楽器も歌に合わせて、リズムをちょっともったりさせてくれていて、本当に歌を引き立たせてくれる演奏をしていただけたと感じています。

――歌う際のイメージは、曲を受け取ってからすぐ浮かびましたか?

はい。メロディ自体もすごくシンプルで、歌の表情をつける余白がかなりあったので、ミュージカルじゃないですけど、どんどん場面が変わっていく様子が思い浮かびました。でも、最初はなかなかうまく表現できなくて。3カ月連続リリースの表題曲のうち、物理的な練習量はこの曲が一番多かった気がします。

――自分の理想と実際のアウトプットが、最初はうまく擦り合わなかった部分もあった。

そうなんです。この曲では曲調が新しかったこともあって練習レコーディングみたいなのがあったんですけど、最初のうちはもう本当にどうしようかと思ったぐらいだったんです(笑)。それに、女性らしさにプラスして冬のシーンの、透明度のある雰囲気も表現したかったので、技術的にも難しかったです。ここ最近は勢いがよくて「荒いぐらいがいい」みたいな楽曲が多かったので、息遣いまで聴こえちゃいそうなぐらいの繊細な曲というのは、新しい挑戦でしたね。

●自分を見つめ直し、手に入れたシンプルな姿
○●メロディと言葉が自然と口から出てくるような、ディスコ調のカップリング曲「Live it up!」

――さて、カップリング曲「Live it up!!」についてもお聞きしたいのですが、先ほどのお話からするとこの曲も『恋プロ』寄りの楽曲というコンセプトのものに?

はい。『恋プロ』の劇伴を担当されている加藤裕介さんに書いていただいた曲で、働く女性の休日がテーマになってます。仕事が終わって、休日に自分の部屋をディスコにして思いっきり踊ることで、お仕事で溜めたフラストレーションを解消して(笑)、また月曜日から頑張れる……という楽曲になっています。

――唐沢美帆さんが書かれた歌詞も、パッと情景が浮かびやすいものになっていますよね。

そうなんですよ。「一人きり しゅわしゅわり」っていう部分は、きっとお酒を飲んでるんだろうなぁとか(笑)。お菓子をちょっと買うことが自分にとっての小さな幸せとか……すごく風景が思い浮かぶような歌詞をいただいて。それにやっぱりTRUEさん(※唐沢のシンガーとしての名義)はボーカリストでもあるので、言葉自体がすごく歌っていて気持ちいいものばかりなんですよ。ツルッと自然と口から出てくるような言葉ばかりで、本当にこの曲はメロディと歌詞に乗せられて歌えたような感じがしています。

――曲調的にも、ディスコ調の曲自体が、今まであまりありませんでしたよね。

そうですね。どちらかというと割と速く突っ込んでいくような感じの曲が多かったので、逆にこういう縦ノリ感のあるような曲を通じて新鮮な顔を見せられたなと、自分でも思っています。

○●8年間・19枚の想いを胸に、久々の有観客ライブへ!

――さて、10月9日には”鈴木このみ Live 2020 ~Single Collection~”をLINE CUBE SHIBUYAにて開催されることも発表されました。

今回のシングル3枚を、一つひとつ向き合いながら制作していくなかで、「アニメソングを歌うってこういうことだな」とか「私自身もアニメソングに励まされてきたな」ということをすごく感じていました。今回は初心に戻って” Single Collection”というタイトルでライブをすることにしました。

――内容については、現在はアイデアを出し合っているような状態なのでしょうか?

はい。タイトル通りにシングル表題曲は、ほぼほぼ全部並べちゃうぐらいの勢いでやろうと考えています。あと私、ライブにあたって今までを振り返るなかで、すごく幸せな歌手人生を送ってきたなと思いまして。この8年間でリリースがあまり途切れることもなかったですし、19枚も出させていただいたシングルの表題曲は、ありがたいことに全部アニメの主題歌になっているんです。今回はその8年間の思い出も含めて形にするライブにしたいので、それこそ「表題曲ぐらいしか知らない」という方にも、これを機に足を運んでいただけたら嬉しいです。

――ファンを前にしてのライブは久しぶりになりますが、そこで鈴木さんは、どんな姿をファンの皆さんに見せたいですか?

それが、なんかもう全然想像がつかないんですよね。こんなにお客さんの前で歌っていない期間が長いのは、初めてなので。でも自粛期間を通じて自分を見つめ直すこともできましたし、3カ月リリースに向けての制作のなかで「え、こういう顔も実はあったの?」みたいな、今まで自分でも気づかなかったような気づきもたくさんあったんですよ。なので今はすごく簡潔に「自分とはこういう人です」ということを言えるような気がしていて。一周回って考え方も生き方もすごくシンプルになってきているのを感じているので、いろんなものを削いだ、自分の本質的な部分をお見せできるんじゃないかな……なんて思っています。
○●舞い降りてきた雪(恋とプロデューサー featuring Konomi Suzuki)

発売日:9月2日
価格:1,500円(税抜)
01.「舞い降りてきた雪」
02.「Live it up!
他、inst含む全4曲収録(須永兼次)